Pickup 本の中のリスト

問題構造学入門―知恵の方法を考える

統合の原理(トマス・ホプキンス)
『システム思考について考える場合、ホプキンス(L. T. Hopkins)の「統合の原理」が参考となります。』  他 2 件


【要約】のステップでは、まず【列挙】【分析】のステップで挙げたリスト項目の候補を、【構成】で決めた構成ごとにグループ化します。それを【定義】に照らして一文に絞り込んでいきます。

1. 流れに沿ってカテゴライズする anchor.png

【列挙】【分析】のステップで挙げたリスト項目の候補を、【構成】で決めたリスト項目ごとにグループ化します。例えば内田さんの「セールス○か条」でいえば、こんな感じです。

  • 準備のコツ
    • (略)
  • 訪問のコツ
    • 訪問企業に関するできるだけ最新のネタを新聞などから仕入れておく
    • 社内で既に訪問企業にアクセスしている人がいないかどうかチェックする
    • 名刺・会社概要などをチェックする
    • 当日の話の流れを復習する
    • 商談中に確認が必要となることもあるので、技術部門の電話番号を控えておく
    • (以下略)
  • 商談のコツ
    • 10分前には必ず到着
    • 最初に(時間を取ってくれた)お礼を言うべし
    • 持ち時間を確認せよ
    • 顧客の言葉を遮るべからず
    • 相手の口調の変化に気をつける
    • 最後は熱意で押し通せ
    • (以下略)
  • フォローのコツ
    • (略)

リスト項目の候補がうまく構成に収まらなかったとしたら、【構成】のステップに戻って他の構成を試します。ここは面倒ですが、構成の良し悪しはリストの出来を大きく左右します。

2. (定義に照らして)重要な項目を選ぶ anchor.png

ここからが「要約」が必要なところです。先ほどのリストの中の「訪問のコツ」を例にとって説明します。

  1. 訪問企業に関するできるだけ最新のネタを新聞などから仕入れておく
  2. 社内で既に訪問企業にアクセスしている人がいないかどうかチェックする
  3. 名刺・会社概要などをチェックする
  4. 当日の話の流れを復習する
  5. 商談中に確認が必要となることもあるので、技術部門の電話番号を控えておく

リストのテーマに照らして、また構成に照らして、ここで残すべき項目を選びます。最終的に一つの文章にまとめる候補ですから、最大でも5項目以内とすべきでしょう。

内田さんは「訪問のコツ」として、以下の2つの項目を選び出しました。


2.社内で既に訪問企業にアクセスしている人がいないかどうかチェックする

5.商談中に確認が必要となることもあるので、技術部門の電話番号を控えておく

3. それらが思い出せるような一文にまとめる anchor.png

これらを一文にまとめてみましょう。ここでは、共通項をまとめていく論理的な方法と、連想を重視する情緒的な方法をご紹介します。


■論理的な方法:共通項をまとめていく

5W1Hで共通項を探すと共通項が見つけやすくなります。

「誰が(誰に)」「なぜ(何のために)」「何を」「いつ」「どこで」「どうやって」というレベルで共通項を探してみましょう。この例であれば、2つとも「社内の人間」(誰)と、「情報」(何)を「共有する」(どうする)という点で共通点があります。そこで以下のようにまとめることができます。

  • 社内で情報共有をするべき相手としっかり共有しておく


■情緒的な方法:連想によって要約する

この2つを選んだ共通の理由が何かあるはずです。自由に連想を働かせて、底の方で通じているものを見つけようというアプローチです。内田さんの代わりに、独白モードでやってみます。

「2は、『社内の動きをおさえておく』ということ。お客様から『A部署の方からも提案もらっているよ』なんて言われたら最悪だからな…」

「5は、『社内のリソースから情報を引き出す』体勢を整えておくということ。毎回同行してもらうわけにはいかないけど、技術的なところが分からなくて持ち帰ってばかりじゃ、同じ会社で働いている意味がないものな…」

「要するに、お客様に対しては、自分が会社との接点なわけだ」

「よし、ではリスト項目はこうしよう」

  • お客様にとっては、自分が会社の代表であり、窓口である。この自覚を忘れるな!

「自分が窓口という意識があれば、するべき事前準備もできるだろう」


■さらに要約をして、一文にする

このように複数の角度から要約を試みて、複数の候補が残ったとします。自分の言いたいことが上手にすくえている方だけを採用してもいいですし、再度要約を試みてもよいでしょう。ここでは、先ほど挙げた2つのリスト項目を要約してみます。

まず、このリスト項目。

  • 社内で情報共有をするべき相手としっかり共有しておく

「共有」といっても、ただ「知っておいてもらう」ということではではないでしょう。例えば技術部門の人には電話連絡ができるようにしておいてもらわなければなりません。その辺りは、実は「しっかり」という言葉に込められているのですが、ちょっと抽象的ですね。

こちらはどうでしょう。

  • お客様にとっては、自分が会社の代表であり、窓口である。この自覚を忘れるな!

心構えとしてはよいのですが、具体的な行動が抜け落ちてしまっている点が気になります。そこで両方のいいとこ取りをして、「どんな心構えで」「何をすべきか」を盛り込んだ一文にまとめます。

  • 会社窓口として商談に臨めるよう、訪問履歴を確認し、社内体制を作っておく

[注] ここでは次の【凝縮】のステップでご紹介するテクニックも使っています。【要約】で多くの情報を一文にまとめ、【凝縮】で一文の「密度」を高めるという設計にしていますが、分かちがたいところもあります。ですから【凝縮】のステップにも目を通しておかれると【要約】も容易になると思います。

要約力は必ず伸ばせる anchor.png

大きく言えば、リスト化という作業そのものが「要約」です。なかでも当ステップの担当は、いままで拾い集めてきた情報を束ねてリストの原型を作ること。全8ステップの要にあたる、【要約】というラベルにふさわしいステップです。

複数の情報をまとめて一つの文章にするのは、決して簡単な作業ではありません。わたしはビジネススクールで似たような作業を教えています。現役ばりばりで優秀な社会人ばかりですが、要約が好きで得意だという方、すらすら要約できる方にはめったにお目に掛かりません。

ただし、要約のスキルはアート(芸術)というよりはクラフト(技能)に近く、練習によって確実に高めることができます。応援団として、明治大学文学部教授の斎藤 孝さんのコメントを引きましょう。

大量の散乱する情報の中から重要なものを選び出し、秩序立てて再構成するという作業は、仕事をするうえで重要な力である。これは要約力だ。
 この要約力は、生来の力というよりは、練習の効果がもっとも出やすいものだ。個人差はあるにしても、練習すれば誰でも向上させることができる力だ。走力や跳躍力や創造性といったものと比較すると、誰にでも門戸が開かれた力であると言える。
斎藤 孝『子どもに伝えたい「三つの力」

勇気づけられる言葉ではないですか。



Counter: 1126, today: 2, yesterday: 1
最終更新: 2012-05-17 (木) 18:29:03 (JST) by admin

リストを購読する

Advertisement