まえがき
『人類がこれまで飛躍的な知的進化を遂げてきた背景にこの抽象化能力がある。(略)「抽象化」という言葉はなにげなく使われる割に厳密な定義は難しいが、大きく以下の3つの側面が考えられる。』
リスト
- 一般化: 1つ1つの具体例に対して、それを上位の概念として包括する一般的な言葉に置き換える
- 単純化: 複雑な事象のうち、当該目的に合致した部分のみ特徴を取り出し、あとの「枝葉を切り捨てる」。科学における「モデル化」がこれに相当する
- 構造化: 個別の具体的事象間の関係や構造を明らかにする。単純化の側面が含まれる。
あとがき
まえがきを含めて、細谷功『アナロジー思考』 (東洋経済新報社、2011年)より。リストは本文からの要約・引用です。
たしかに『「抽象化」という言葉はなにげなく使われる割に厳密な定義は難しい』と思いますが、それでもこうやって定義をかたちづくってみせるところに著者の力量を感じます。
この3側面の中では「構造化」が本書のテーマであるアナロジー思考にとって必要とのことでした。
まさに表面的類似性を意識することなく構造的類似性を探り当てる能力こそ抽象化能力に他ならない。抽象化能力の中でも構造化という思考はアナロジー思考を用いる上では特に必要な思考能力といえる。
- タイトル: アナロジー思考
- 著者: 細谷功(著)
- 出版社: 東洋経済新報社
- 出版日: 2011-07-28