【構成】リストの流れを決める

リスト項目の材料が出揃ったところで、それらは一度脇に置いておき、リストの構成を決めていきましょう。構成とは、リスト項目の「順序」と「数」です。このステップで「リストは○箇条で、だいたいこんなことが書かれている」というイメージを固めます。

リスト項目の順序:「流れ」るように並べる

リスト項目を、「流れ」を意識して並べます。

【分析】のステップで、よさそうな枠組みが見つかったのであれば、まずはそれでいいでしょう。その枠組みが「順序」や「段階」であれば、並べ替える必要はありません。

問題はそれ以外の「分類」による枠組みです。上のSCAMPERのように頭字語を作れそうであればそれに従わざるを得ません。それ以外の場合は、「重要なことから些末なことへ」「全体から部分へ」という感じでしょう。次のリスト項目を思い出しやすい秩序を作れればよいのです。

内田さんの例でいえば、さっき考えたフレームワークに則って

  • 準備のコツ
  • 訪問のコツ
  • 商談のコツ
  • フォローのコツ

を第一案として考えることができます。

フレームワークに則るとはいっても、すべてを使えるとは限りません。たとえ【準備】という枠があっても、中に入れるべきコツを持っていなければ、リスト項目にはなりません。

リスト項目の数:覚えるリストなら5が上限

リスト項目の「数」はどれくらいが適当でしょうか。

もし作ろうとしているリストが「覚える要約型リスト」でないならば、特に制限はありません。その都度リストを眺めればよいのです。

もし「覚える要約型リスト」を作ろうとするならば、リスト項目の数には定番の法則があります。人間がサッと覚えられる数(短期記憶容量)は、最大でも「7±2の、意味のある情報の塊(チャンク)」というもので、これを発見したジョージ・ミラー教授の1956年の論文のタイトルから「マジックナンバー7」と呼ばれています。

リストを覚えてしまうつもりで作るのであれば、7でなく5が目安となるでしょう。わたしはいろいろな人からリストを教えてもらってきましたが、愛用のリストが7項目に上っている人には、ほとんどお目に掛かったことがありません。「TREES ― 聴衆の質問に答えるときの心がけ」を引用した、『最高のプレゼンテーション』を書いたダグ・マルーフも、この本の中で「私の過去25年間の講演活動を通じて、上限は5つだと確信している」と述べています。

わたし自身、第1部のリストの中で、そらで言える7項目以上のリスト(自作リストを含めて)は「7つの習慣」と「SCAMPER」だけです。ただし、これらも7つのチャンクとして覚えていたわけではありません。「7つの習慣」は、後述するように意識して覚えようとしましたし、内容的に3+3+1の3つのチャンクにまとめることができます。「SCAMPER」のほうは頭字語(つまり1チャンク)にしてくれてあるおかげで、一つ一つ思い出せば言うことができます。

自分は10でも20でも覚えられるですって?もちろん、自分で覚えるためのリストであれば数にこだわる必要はありません。ただ、例えば次の講演で聞き手の記憶に残る印象的なリストを披露したいなら、平均的な人間にとって記憶できる数字―つまり5―を意識するべきでしょう。

思い出しやすい工夫をする

「覚える要約型リスト」の場合、頭文字を揃える・つなげてみる、などの工夫が望ましいことは言うまでもありません。『改善の原則「ECRS」』よりも『マーケティングの4P』の方が、さらに『目標設定の「SMART」』の方が、思い出しやすく作られています。パッと思い出せることを目的とするならば、駄洒落でもなんでも活用して、思い出すためのきっかけを埋め込みましょう。

(なお、頭字語については【修辞】のステップでも再挑戦します)