ICL社の提携事業成功への「実践12か条」

まえがき

『今日のグローバル環境下では、良好な関係を築く経営技術こそが成功への決定的な鍵なのである。』

リスト

  1. 提携は「個人的任務」と心得るベし。パートナー関係をうまく運営するのは「人」である。
  2. 提携は「経営者の時間を食うもの」と覚悟すベし。時間を割く余裕がなければ、最初から提携しないこと。
  3. 互いに尊敬と信頼の心を忘れないこと。折衝する相手を信頼できないなら、提携はやめたほうがよい。
  4. 双方にとって提携から「なにか得るもの」がなければならない(最終的には金銭)。あくまで「互恵」が重要。ということは、自社側でもおそらくなにかを犠牲にしなければならない。それを最初から認識すること。
  5. 必ず法律的に手抜かりのない契約をまとめること。気まずい問題、異論のある問題についても、解決を「後日」に先送りしないこと。しかしいったん締結した契約はしまってしまうこと。契約を頼りにするのは、関係にひびが入ったときである。
  6. 提携の期間中、周囲の事情や市場の変化が起こることを認識すベし。相手側の問題を理解し、柔軟に対処しなければならない。
  7. 自社側も相手側も、提携関係とその時間的経過から、互いにメリットを期待できるようにすること。一方が満足で他方が不満という関係は、破局のパターンである。
  8. 相手側の関係者を、あらゆるレベルで打ちとけて知るよう努めること。友人同士なら、けんか別れも少ない。
  9. 双方の「文化」が地理的にも社内的にも違うことを認識すベし。自社側とまったく同じ行動や反応を、相手側から期待してはならない。なにか気になる反応があったら、その本当の理由を探り出すこと。
  10. 相手側の利益と自主性を尊重すること。
  11. 自分の目には単に「戦術的」と見える取決めでも、必ず会社の承認を取りつけること。自分の戦術的行動が、実は全体戦略のジグソーパズルのなかで、鍵を握る重要な一片となっているかもしれない。そのパートナーとの関係に会社のお墨付きが得られれば、関係推進に必要な積極的権限をもってあたることができよう。
  12. 成果は両社で一緒に祝うこと。それは「共通の喜び」のはずであり、双方の努力で得られたものである。

あとがき

まえがきを含めて大前 研一『ボーダレス・ワールド』より。ICL社とは、2002年に富士通の子会社になった英インターナショナル・コンピューターズ・リミテッド社のこと。著者によれば、ピーター・L・ボンフィールド会長はこれを名刺ホルダーに入れて富士通と接触する社員に配っていたとのこと。

どれも納得ですね。11の内容が少し分かりづらいように感じます。「戦術的」(tactical)というのは「戦略から逸れない範囲での現場の裁量」と置き換えると分かりやすいかもしれません。現場の担当者にとっては「ちょっとしたかけ引き」に見える妥協やバーターも、(プラス面でもマイナス面でも)全体に意外な影響を及ぼすかもしれないので、事前に確認して会社のバックアップを得て進めよう、という感じでしょうか。

このリストには「さらに次の二点に注意すること」として以下が追記されています。

1. OEMメーカーとの製品契約を取り決める場合には、逆に、自分の商品を売ってもらう機会があるかどうか、必ず相互対称となる機会を模索せよ。
2. 共同開発契約を結ぶ際には必ず「共同販売」の可能性も含めて検討せよ。開発コストを回収し、販売数量/利益を実現するには、できるだけ多く売ることが必要である。

(書影)

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