- Situation: 現在の状況を明らかにする
- Problem: その状況に問題があるかどうかを明らかにする
- Implication: その問題が相手に及ぼしている影響を示唆する
- Need-payoff: その問題が解決された状態をイメージし(、解決策の提示を求め)てもらう
解説
「売り込む」のではなく「聞く」ことに重点を置いたセールストークの進め方です。顧客が自ら問題を発見し、その解決策を考える過程で商品に興味を持ってもらえるよう、注意深く会話を組み立てていきます。
よく見てみると、このステップは「分析的な問題解決のプロセス」に似ています。解決策に飛びつかず、問題を明らかにしてから原因を(原因だけでなく、問題の放置による将来の悪影響も)考えるという問題解決のプロセスを、顧客にやってもらうことが狙いなのです。
顧客自身が問題に気づき、解決された状態を明確にイメージできれば、必要なのは解決策(つまり自社商品)をきちんと説明することだけです。もし自社商品が最善の解決策でなければ、提案には至らないかもしれません。しかし、顧客の問題解決を途中まで手伝ったわけです。顧客は感謝してくれるでしょう。退き際を読めずに売り込み続けた場合とのギャップを考えれば、やはり大きなメリットがあります。
「説得の(たった2つの)ステップ」で見たとおり、人間は自分が発見したことにしか(本当には)納得しません。顧客が自ら問題解決のプロセスを踏むことを促すSPINは、心理と論理をうまく組み合わせたセールステクニックといえるでしょう。
参考文献
ニール ラッカム著/宇都宮 直幸訳『SPIN式販売戦略―売り上げが驚くほど伸びる』 ダイヤモンド社 1995年