自衛官の心がまえ


まえがき

『われわれは自衛官の本質にかえりみ、政治的活動に関与せず、自衛官としての名誉ある使命に深く思いをいたし、高い誇りをもち、次に掲げるところを基本として日夜訓練に励み、修養を怠らず、ことに臨んでは、身をもって職責を完遂する覚悟がなくてはならない。』

リスト

あとがき

まえがきを含めて、防衛研究会(編集)『自衛隊の教育と訓練』 (かや書房、1996年)より。

図書館で見かけて、箇条書きがないかしらとページをめくってみたら、冒頭にこのリストがありました。昭和36年制定、漢文の香りを残す名調子でしたので小項目を含めて引用します。なお平成18年版防衛白書にもこのリスト部分を含む全文が記載されていました。

  1. 使命の自覚
    1. 祖先より受けつぎ、これを充実発展せしめて次の世代に伝える日本の国、その国民と国土を外部の侵略から守る。
    2. 自由と責任の上に築かれる国民生活の平和と秩序を守る。
  2. 個人の充実
    1. 積極的でかたよりのない立派な社会人としての性格の形成に努め、正しい判断力を養う。
    2. 知性、自発率先、信頼性及び体力等の諸要素について、ひろく調和のとれた個性を伸展する。
  3. 責任の遂行
    1. 勇気と忍耐をもって、責任の命ずるところ、身をていして任務を遂行する。
    2. 僚友互いに真愛の情をもって結び、公に奉ずる心を基とし、その持場を守りぬく。
  4. 規律の厳守
    1. 規律を部隊の生命とし、法令の遵守と命令に対する服従は、誠実厳正に行なう。
    2. 命令を適切にするとともに、自覚に基づく積極的な服従の習性を育成する。
  5. 団結の強化
    1. 卓越した統率と情味ある結合のなかに、苦難と試練に耐える集団としての確信をつちかう。
    2. 陸、海、空、心を一にして精強に励み、祖国と民族の存立のため、全力をつくしてその負託にこたえる。

使命、責任、規律、団結。これだけが並んでいたとしたら、どこか滅私奉公的な心構えだなと感じるところです。しかし第2項目に「個人の充実」があることで、バランスがぐっと良くなっている印象を受けました。

具体的な内容や意味合いの軽重は違ってくるでしょうが、この5要素自体は私企業で働く個人にも援用できそうだと感じます。

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