まえがき
『現在の科学方法論などでは、一般に「仮説」あるいは「前提」は、つぎのような条件を満たすことが望ましいとされている。』
リスト
- 経済性: 仮説あるいは前提は、できるだけ数が少ないことが望ましい。よく整理され、必要最小限のものでなければいけない。
- 単純性: 仮説あるいは前提は、いろいろな事実をできるだけ単純に説明できるものであることが望ましい。
- 豊富性: ある仮説系が、きわめて多くのことを説明できるのであれば、この仮説系は、豊富性をもっているといえる。
- 独立性: 仮説、あるいは前提は互いに独立していなくてはならない。
- 無矛盾性: 仮説から導き出された諸結果が、互いに矛盾することがあってはならない。
- 適切性: 仮説、あるいは前提は、観察される事実を適切に説明し得るものでなくてはならない。
- 検証性: 仮説から導き出された諸結果は、できるだけ検証可能であることが望ましい。
あとがき
まえがきを含めて、安本 美典『説得の科学: 何が人の心を動かすのか』 (PHP研究所、1997年)より。リストは本文からの抜粋・引用です。
本書には多くの引用がありますが、このリストには引用元がありませんでした。
「豊富性」という条件は相対的に弱いというか、あれば望ましいがなくてもよい条件のように感じられます。ある主張を成立させるために仮説を立てたとします。それが良い仮説かどうかをチェックするために豊富性、つまり他の多くの主張を成立させ得るか、を考えたりするものでしょうか。
まあ、多くのことを一つの仮説あるいは前提で説明できるのは美しいですし、豊富性が高い仮説のほうが、確かめられたときには科学の発展に寄与しそうではあります。
この項目だけ仮説系という言葉が与えられているのも気になります。
- タイトル: 説得の科学: 何が人の心を動かすのか
- 著者: 安本 美典(著)
- 出版社: PHP研究所
- 出版日: 1997-03-01