「よいリスト」とは何か

そもそも、リストとは何か

先に進む前に、本書での言葉の定義をしておきます。

重要なのは、リストにはタイトルをつけること。タイトルがなければ、自分が何についてのリストを作っているのか(テーマ)が、作っているうちにぼやけてきてしまいます。

よく使われているリストの中には、タイトルがなかったり、あってもラベルに過ぎないもの(「調味料のさしすせそ」など)もあります。一度リストができてしまえば、タイトルが無くてもテーマは分かるかもしれません。しかしリストを自分で作る際には、タイトルを付けることが必要です。

リストには列挙型と要約型がある

「はじめに」で、本書ではリストを「箇条書きの形にまとめられた知恵やコツ」であると書きました。しかし一般にリストといえば、以下のようなリストも含まれます。

本書で主に扱う「箇条書きの形にまとめられた知恵やコツ」を「要約型リスト」とすれば、上記のような、とにかく網羅することが大事なリストは「列挙型リスト」ということができます。さらに「要約型リスト」は、「覚える要約型リスト」と「読む要約型リスト」に分けることができます。前者は、第1部で「まるごと覚えてしまいたいリスト」として紹介したような、リアルタイムで使うために記憶しておきたいリスト。後者は、紙に書いておいて読み返せばよいリストです。

これらの区別は、リストを使う上では重要ではありません。ただし、本章のテーマである「リスト化」という観点からすると、難易度が大いに違ってきます。そのため区別のために、分けて定義をしておきます。

リストの分類(下に行くほど作成の難易度が高い)

「よいリスト」とは何か

「はじめに」で宣言したように、「よいリスト」とは「役に立つ」リストです。どのような体裁であろうが、読み手が「役に立つ」と思えば、それはよいリストです。

ただし、一般的に「よいリスト」が備えている形式上あるいは内容上の共通点があります。

形式面では「印象のよさ」が重要です。「印象のよさ」とは、「読む要約型リスト」であれば読みやすさ、「覚える要約型リスト」であればそれに加えて思い出しやすさです。「印象のよさ」は、リズム、韻、リスト項目の数、順序、漢字とかなのバランス、そして使われている言葉に対する読み手の思い入れなどの要素によって決まります。

内容面では「分かりやすさ」です。分かりやすさには三つの要素があります。

  1. 一つのテーマについて語られていること
    3分のスピーチであれ1冊の本であれ、核となるテーマを欠けば分かりやすさは半減します。リストも同じ。一読して何についてのリストなのかが分からなければ、二度と顧みられることはないでしょう。
  2. そのテーマがタイトルに要約されていること
    作成者がテーマを明確にしていても、リスト項目からはそれが読み取りづらい場合もあります。例えば○○ページのリスト(著者注:「目標中毒に陥らないための8つの秘訣」)を、タイトルを隠して読んでみてください。「いいことを言っているようだが、何のリストなのかな」と感じると思います。「目標中毒に陥らないための8つの秘訣」というタイトルがあって初めて、このリストのテーマが読み手に伝わるのです。 適切なタイトルは、作り手にとっても重要です。これから紹介する、リスト作りの長い道のりを経ていくうちに、あれもこれも押し込みたくなったり、あるいはどんどん道を逸れてしまうかもしれません。そのときに頼れるガイドとなるのが、テーマを的確に表現したタイトルなのです。
  3. リスト項目が、そのタイトルを説明するものであること
    タイトルとリスト項目の内容が一致しているということです。例えば、「転職のコツ」を読んでみたら、自分の成功体験しか書かれていない(偏りがある)。どのリスト項目も似たようなことを言っている(重複がある)。これでは読み手は混乱し、「分かりづらい」と感じてしまいます。

よいリストの条件