まえがき
『法律学者は、通常、財産の3つの属性を「usus」(使用する権利)、「abusus」(変更または処分する権利)、「fructus」(それが生み出す価値に対する権利)と定義する。』
リスト
- 使用権: 使用する権利 (usus)
- 収益権: それが生み出す価値に対する権利 (fructus)
- 処分権: 変更または処分する権利 (abusus)
あとがき
まえがきは、オードリー・タン、E・グレン・ワイル、[Plurality]コミュニティ『PLURALITY : 対立を創造に変える、協働テクノロジーと民主主義の未来』 (ライツ社、2025年)より。リストは本書からの引用に加えて、水田 嘉美『新・旧司法試験基本3法電撃制覇』 (三修社、2007年)から用語を追加して作成しました。また後述する理由でリスト項目の順序をまえがきと違えました。
財産の属性など考えたこともありませんでしたが、usus / fructus / abusus はラテン語で、古代ローマ時代には制度化されていたとのこと[1]。まえがきに引用した文章の後にはこんな例が添えられていました。
たとえば、標準的な賃貸契約では、ususは借り手に譲渡され、abususとfructusは家主に留保される。企業は、多くの資産のususを従業員に付与し、abususは上級管理職にのみ付与し、多くの場合はそこに抑制と均衡の仕組みを必ずつける。そしてfructusは株主のために留保される。
日本の民法でも、所有権とは使用・収益・処分の権利であると、そっけないほど簡潔に書かれています。2千年にわたって追加も削除もなく機能しているところに、この枠組みの堅牢さがあらわれています。
第206条(所有権の内容)
所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する。
なお、使用 (usus) と収益 (fructus) は合わさって用益 (ususfruct) と呼ばれるとのこと。考えてみると、処分権を貸してしまうと相手はそれを処分してもよいわけですから、これは所有権そのものを譲るようなものです。だから処分権がいちばん強い権利といえそうです。民法や一般書籍で使用・収益・処分の順になっているのはそういった強さを考慮しているのでしょう。よってリスト項目の順序もまえがきの説明から変更しました。
タイトル: PLURALITY : 対立を創造に変える、協働テクノロジーと民主主義の未来
著者: オードリー・タン、E・グレン・ワイル、[Plurality]コミュニティ
出版社: ライツ社
出版日: 202505
参考文献
[1] “Usufruct” および “Fructus (Roman law) ” – Wikipedia

