まえがき
『人間や人間以外の霊長類(チンパンジーやオランウータンなど)は、臨機応変な戦術的あざむきを行うことができます。(略)確かにあざむきであると見なせる霊長類の行動事例(略)は5つのグループに分類されます。』
リスト
- 隠ぺいする――音を出さない、姿を隠す、物を隠すなど、他者から何らかの情報を隠す。
- はぐらかす――他者の注意を別のところへ引き付けることによってあざむく。
- 装う――外向きの行動を装う。中立的、友好的、あるいは威嚇的に装う。
- 社会的道具を利用する――関係のない第三者を利用することで、本来の相手をあざむく。
- 身代わりにする――他者をあざむいて第三者を攻撃させることで、自分の目標を達成する。
あとがき
まえがきをふくめて、阿部 修士『あなたはこうしてウソをつく』(岩波書店、2021年)より。
動物のあざむき(欺瞞)には、このリストが対象としている戦術的あざむきのほかに、遺伝的あざむきがあります。これは擬態や托卵など、生まれながらに備わった行動。
言葉を使わなくても、これだけの方法で他者をあざむける。4 や 5 はかなり高度な欺瞞のように思えます。
参考文献
Whiten, Andrew, and Richard W. Byrne. “Tactical deception in primates.” Behavioral and brain sciences 11.2 (1988): 233-244.