まえがき
『「年をとっても知的能力を保持する効果がある要因は何か」という問題は、おそらく他の多くの問題よりも、われわれの興味をひく問題だろう。(略)シャイエは、知的能力を保持するために次の要因が役に立つとしている。』
リスト
- 心臓病や他の慢性病を患っていないこと
- 良い環境(高い社会的階級によって得られる)に住むこと
- 複雑で知的刺激の多い環境にあること
- 中年のときに柔軟な生き方をしていること
- 知的能力の高い配偶者と暮らすこと
- 脳の情報処理の速さを維持すること
- 中年のときに自分の人生に満足すること
あとがき
まえがきを含めて『知能 (〈1冊でわかる〉シリーズ)』より。本書の著者はイアン・ディアリという人ですが、この部分はまえがきにあるとおりシャイエ(K. W. Schaie)という人の研究の引用です。参考文献をチェックしたところ、次の文献にこの7項目が解説付きで載っていました。過去の研究の積み重ねから導かれたリストであることが分かります。
“The course of adult intellectual development.” Schaie, K. Warner, American Psychologist, Vol 49(4), Apr 1994, 304-313.
4や7、とりわけ7にはドキッとさせられるものがありますね。7は、上記の文献によれば “Rating one’s self as being satisfied with one’s life’s accomplishment in midlife or early old age.” です。『中年期・初老期に人生で成し遂げたことについて、満足していると自己評価していること』という感じかな。その自己満足感が、後々の知的能力に影響を及ぼすとは。
- タイトル: 知能 (〈1冊でわかる〉シリーズ)
- 著者: イアン ディアリ(著)、松原 達哉(解説)、Ian J. Deary(原著)、繁桝 算男(翻訳)
- 出版社: 岩波書店
- 出版日: 2004-12-10