数字に入り込む「5つの主観」


まえがき

『知能のような抽象的な概念を標準化するには、その過程でいろいろな選択が必要になる。数字は一見すると客観性のオーラをまとっているが、その裏にはえてして「主観的な決断」が隠れているものだ。』

リスト

  1. 「ないもの」を計測している: そもそも知能は抽象的な概念で定義も統一されていない。しかしIQテストにより数値化すると、あたかも実在するかのように誤認する「物象化」が起こる
  2. 「主観」が否応なく混ざる: IQテストでは抽象的な思考能力を重視している。しかし知能の中で抽象的な思考能力が重要だというのは主観である
  3. 「かぞえられるもの」だけで考える: IQテストでは数値化できない要素を無視している。結果として不当な評価を受ける人が出たり、IQテストの数値が知能の高さそのものと誤認されたりする
  4. 「たった1つの数字」で語られる: 知能の質を1つの数字で測っている。結果として真実の持つ微妙なニュアンスが捨象される
  5. 「出てほしい結果」に寄せる: 計測された数字が解釈される際、人の偏見や思惑の影響を受ける

あとがき

まえがきを含めて、サンヌ・ブラウ『The Number Bias 数字を見たときにぜひ考えてほしいこと』 (サンマーク出版、2021年)より。リストの見出し部分は本文からの引用です。本文の内容の意訳を解説に添えました。

5のところに印象的なエピソードがありました。第一次世界大戦中に実施された知能テストの結果、移民や黒人は点数が低く、また点数と教育を受けた年数の間に強い(正の)相関があったそうです。

しかし実施者は、教育によって知能を高め得るとは考えず、教育を受ける年数が長いのは持って生まれた知能の高さによるものだと解釈し、人種差別的な提言を引き出す材料にしたとのこと。

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