まえがき
『ネアンデルタール人や初期のホモ・サピエンスの脳では、より原始的な一般知能に加えて、(略)三つがそれぞれ独立に発達していた。』
リスト
- 集団のなかでの社会生活に特化した社会的知能
- 狩猟採集に特化した博物学的知能
- 石器製作などの物づくりに特化した技術的知能
あとがき
まえがきを含めて、齋藤 亜矢『ヒトはなぜ絵を描くのか――芸術認知科学への招待』 (岩波書店、2014年)より。まえがきの(略)の部分にリストの部分が当てはまります。
大まかに、心と頭と手というくくりでしょうか。しかし文言だけを見ると、狩猟・採集にも技術的知能は大いに必要でしょうし、物づくりにも博物学的知能は必要に思えます。独立して発達し得るものなのか……。
そもそも引用したのは次の文章に続く部分でした:
イギリスの考古学者スティーヴン・ミズンは、壁画をはじめとする後期旧石器時代におこった文化の爆発の原動力を、知能が認知的流動性を得たことによるものだと指摘した。
認知的流動性を得たというのは、四つめ五つめと独立した知能を獲得していったわけではなく、ある知能を別のことに応用できるようになった、ということ。そして、この認知的流動性を生み出したのが言葉だという説です。
スティーヴン・ミズン『心の先史時代』 (青土社、1998年)に詳述されているようなので読んでみようかな。