まえがき
『現代文明が発展と技術的進歩をこれまで連綿と続けてこられたのは、じつは人類史上においては例外的なできごとなのだ。(略)実際、ジョセフ・テインターなどの人類学者は、現代のように複雑さとつながりをきわめるにしたがい、社会は前触れもなく壊滅的な崩壊を起こしやすくなると主張する。』
リスト
- 気候変動:温室効果ガス(二酸化炭素およびメタンガス)による地球の温暖化が洪水・旱魃などの気候変動を生じさせ、資源の枯渇・その奪い合い(戦争)が起きる。
- 小惑星や彗星の衝突:比較的大きい(直径1km級の)小惑星や彗星の衝突により津波・粉塵の散乱・野火が起き、広大な地域が荒廃する。
- 超巨大火山:噴火により吹き上げられた灰と硫黄化合物が太陽光を遮蔽し、農業が破綻する。長期的には寒冷化によって氷期が招かれる。
- コロナ質量放出:太陽からのコロナ質量放出(CME)が衛星群を損傷させ、通信や時間信号などのインフラが破壊される。またCMEは地磁気を攪乱させ、送電線に過剰な誘導電流が流れて変圧器が破壊される。
- グローバルなパンデミック:感染症の流行により短期間に大勢の人が死亡し、食糧生産と流通・病院・警察・浄水施設・発電施設などの重要な社会インフラが破綻する。
あとがき
まえがきを含めて、ルイス・ダートネル 「世界の終わり」より。ジム・アル=カリーリ編集 『サイエンス・ネクスト: 科学者たちの未来予測』(河出書房新社、2018年)第17章所収。リストは本文の要約です。
原著の出版は2017年。COVID-19の2年前ですが、パンデミックは「起きる可能性がきわめて高い」と指摘しています。そのほか「現代文明崩壊の一番ありそうなシナリオ」として挙げているのが、気候変動。
- タイトル: サイエンス・ネクスト: 科学者たちの未来予測
- 著者: アル=カリーリ,ジム(編集)、Al‐Khalili,Jim(原著)、多惠子, 鍛原(翻訳)
- 出版社: 河出書房新社
- 出版日: 2018-09-07