想像力の源となる三つの結合原理(ヒューム)


まえがき

『想像力は、いかようにでも望む通りに観念を組み合わせる自由を持ち、この自由こそ想像力を記憶と区別する特徴なのだが、それは観念を無作為に組み合わせるわけではないとヒュームは論じる。(略)三つの結合の原理が存在することが明らかになる。それはいわば、そのおかげで心がある観念から別の観念へと導かれ、それらをまとめることができる、われわれの観念が持つ三つの特徴である。』

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あとがき

まえがきを含めて、メアリー ウォーノック著、髙屋 景一訳 『想像力: 「最高に高揚した気分にある理性」の思想史』 (法政大学出版局、2020年)より。リストは本文からの引用・編集です。

まえがきの(略)の部分にはヒュームの『人性論』第一篇第一部第四節からの引用があります。

そして第3項目の因果関係については次の文章がカッコ付きで添えられていました。

(この最後のものは、ヒュームが分析したところ、それ自身複雑であり、少なくとも部分的には想像力の産物であると判明したが、当面、彼はそれを二つの観念がそのように関連づけられる単純で観察可能な事実として扱う)。

たしかに、人が因果関係を感じるとき、それが事実なのか想像力の産物なのか、識別は難しそうです。ただ、「似ている」(類似)や「近い」(接近)と感じる瞬間にも、すでに想像力が働いていそうに思います。想像力は再帰的に働く(想像力の産物に対しても想像力が働く)ので、因果関係だけ特別扱いする必要があるのかな。

副題の「最高に高揚した気分にある理性」とは想像力の魅力的な定義だな、と思っていたのですが、巻末の「訳者解説」にはこんな文章がありました。

なお、副題『「最高に高揚した気分にある理性」の思想史』は原著にはない。(略)本文中 (168頁)にも引用のあるワーズワースの『序曲』の言葉を使って加えたものである。「最高に高揚した気分にある理性」というフレーズはロマン主義的な想像力概念の定義として頻繁に引き合いに出されるもので、「本書は、何よりもわれわれの自然に対する態度に影響を及ぼした、ロマン主義の誕生を考察したものだと見なすことができるかもしれない」(「日本語版への前書き」)という著者の言葉を踏まえると、あながち的外れでもない、許される範囲の追加であることを願っている。

この副題のおかげで読んでみようと思えました。訳者の方に感謝です。

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