まえがき
『「キャラ文化」とは、己の感情を隠蔽して社会的な役割を果たす様式だ。(略)次のような特徴を持つ。』
リスト
- 性格の一側面の強調
- 集団内で他者のキャラと被ってはいけない
- 一度定着すると脱することが難しい
- 社会的アイデンティティの表現の一種
あとがき
まえがきを含めて、パントー・フランチェスコ『日本のコミュニケーションを診る~遠慮・建前・気疲れ社会』 (光文社、2023年)より。本文中のリストからの引用です。
「キャラ」という言葉を著者は『社会的役割を持つ性格の一部を強調した表層演技』であると定義しています。表層演技については「感情労働をこなす3つの演技」を参照のこと。
このリストがある項の次の項は「キャラ文化が引き起こす解離性同一性障害」。個人の固有性を表出せず、場面ごとに「キャラ」を演じ分ける。著者は『このように性格の「フルスペック」を表現しないように意識することには相当なエネルギーを要し、健全とはいえない』と述べています。
解離性同一性障害は記憶と意識の統合が断片化され、その時にメインになっている交代人格が経験したことに関する記憶のみ保存される。俗にいう「多重人格」だ。(略)
キャラ文化によって性格は「解離」する。これは、固有の自己同一性が保たれず、その人の感情と認知の統合が破壊され、複数の自立する性格が成立している状態を示す。
- タイトル: 日本のコミュニケーションを診る~遠慮・建前・気疲れ社会
- 著者: パントー・フランチェスコ(著)
- 出版社: 光文社
- 出版日: 2023-09-13