まえがき
『泉岡は村野に和風建築を設計する際の心得を伝授したと、村野は記している。』
リスト
- 玄関を大きくするな。門戸を張るな。
- 外からは小さく低く、内にはいるほど広く、高くすること。
- 天井の高さは七尺五寸を限度と思え、それ以上は料理屋か、功成り名とげた人の表現になるので普通でない。
- 柱の太さは三角、それ以上になると面取りで加減したり、ごひら(長方形)にする。
- 窓の高さは二尺四寸、風炉先屏風の高さが標準。
- 縁側の柱は一間まに建て、桁に無理させぬこと、これで十分日本風になるはずである。
- 人の目につかぬところ、人に気付かれぬところほど仕事を大切にして金をかけること。
- 腕の良さを見せようとするな、技を殺せ。
あとがき
まえがきを含めて、隈 研吾『日本の建築』 (岩波書店、2023年)より。
まえがきの「村野」は建築家の村野 藤吾 (Wikipedia)、泉岡は『村野の若いころの借家の家主であり、後に村野に事務所の地所を譲った、大阪の素封家で趣味人としても知られていた泉岡宗助』です。リストは本文からの引用ですが、村野 藤吾「和風建築について」(『村野藤吾著作集』所収)からの引用とのこと。
最初の6項目は形に関する心得で、「ここまでに留めておけ」といったトーンが大部分。また最後の2項目は姿勢に関する心得。全体的に抑制的なところを好ましく感じて収集しておきたくなりました。
- タイトル: 日本の建築
- 著者: 隈 研吾(著)
- 出版社: 岩波書店
- 出版日: 2023-11-29
参考文献
- タイトル: 村野藤吾著作集
- 著者: 村野 藤吾(著)、神子 久忠(編集)
- 出版社: 鹿島出版会
- 出版日: 2008-10-01