まえがき
『英経営学者ロバート・ジョンストンはサービスの品質をより細かく整理し、それらが顧客の満足感にどのような影響を与えるかを調査しています。この方法では品質の内容は評価の要因ごとに大きく4つに分類されます。』
リスト
- 【満足要因】存在することで顧客満足度を高めるが、存在しなくても不満を生むことはない項目。例:顧客へ注意を払うこと、客への援助や世話、温かく歓迎し受け入れること、礼儀正しさ。
- 【衛生要因】品質水準が低いと不満が出るが、高くても満足感を高めるわけではない項目。例:安全性、利用のしやすさ、信用性、公平性。
- 【両義性要因】顧客を満足させたり不満を生んだり、両方向へ影響する項目。例:業務遂行能力、コミュニケーション能力、迅速な反応。
- 【中立要因】大きな満足感にも不満感にもつながらず、許容範囲に入っていればよい項目。例:環境や施設が快適なこと、施設設備の概観が好ましいこと。
あとがき
まえがきを含めて、近藤隆雄『第11章心情をくむサービス(7)品質評価に4要因活用』 (日本経済新聞 6月10日朝刊「やさしい こころと経済学」欄) より。
ハーズバーグの2要因理論と似た感じですが、第3、第4項目を加えてより細分化しています。
「中立要因」って変な言葉ですよね。結果に影響を与えない(中立)なら、それは要因ではないのでは? と思い、元の言葉を探してみました。
直接ロバートストンが書いた論文にはアクセスできませんでしたが、他の文献(1)から類推すると元は Monovalent Satisfiers / Monovalent Dissatisfiers / Bivalent Satisfiers / Null Relationships の模様。「無関係」ということですね。それを言い換えた Satisfiers / Dissatisfiers / Criticals / Neutrals という組もありました。第3、4項目は「決定的要因」「中立」とでも訳しましょうかね。
(1) Vargo, Stephen L., et al. “Satisfiers, dissatisfiers, criticals, and neutrals: A review of their relative effects on customer (dis) satisfaction.” Academy of Marketing Science Review 11.2 (2007): 1-19. この中でジョンストンらの文献(2)が引用されています。
(2) Silvestro, Rhian M. and Robert Johnston. “The Determinants of Service Quality: Hygiene and Enhancing Factors.” Quality in Services II: Selected Papers. Coventry, UK: Warwick Business School: (1990): 193-210.