- 第一 資料集め――諸君の当面の課題のための資料と一般的知識の貯蔵をたえず豊富にすることから生まれる資料と。
- 第二 諸君の心の中でこれらの資料に手を加えること。
- 第三 孵化段階。そこでは諸君は意識の外で何かが自分で組み合わせの仕事をやるのにまかせる。
- 第四 アイデアの実際上の誕生。<ユーレカ! 分かった! みつけた!>という段階。そして
- 第五 現実の有用性に合致させるために最終的にアイデアを具体化し、展開させる段階。
解説
アイデアの生成過程を解説しています。本書に載せたリストの中では最も有名なリストだと思います。
あっけないほどシンプルなこのリストがこれほど支持されている理由はなにか。わたしは、第三の孵化段階と第四の「ユーレカ!」の存在を明示したからではないかと思います。
このリストの出現以前、クリエイターは「アイデアはどうにかすれば機械的に産み出せるはずだ」と信じる上司に苦しめられていたに違いありません。アイデアが出ないなら、机に向かってもっと読んだり書いたり考えたりせよ、と。
しかし伝説の広告マンが、「アイデアは『孵化』し『ひらめく』ものなのだ」と明言してくれた。これによって、クリエイティブな人は昼間に遊んでいてもよい免罪符を手に入れたのだ。免罪符どころか免許といってもいい。クリエイターの喜びやいかに。ネット書店でおおむね好評なのもうなずけますね。
……というのはうがった見方で、そのような空白の期間は実際必要なのだと思います。日本の知性の代表である立花隆氏も『知のソフトウェア』で、野口悠紀雄氏も『「超」文章法』で、それぞれ似たことを述べている箇所があります。
引用元
ジェームス・W・ヤング 『アイデアのつくり方』