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自殺に至る6ステップ

『彼のモデルでは、自殺する人間は自殺に至るいくつかのステップを順に踏んで移動してゆき、その移動ごとに危険度も増してゆく。(略)自殺思考の段階を行きつ戻りつすることもあるし、原理的にはどの時点でもそこから降りてしまうことも可能である。しかし、段階を進むにつれて、降りるのは難しくなる。』

まえがき

『彼のモデルでは、自殺する人間は自殺に至るいくつかのステップを順に踏んで移動してゆき、その移動ごとに危険度も増してゆく。(略)自殺思考の段階を行きつ戻りつすることもあるし、原理的にはどの時点でもそこから降りてしまうことも可能である。しかし、段階を進むにつれて、降りるのは難しくなる。』

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  1. 期待値に届かないこと: 個人的な基準と現在の生活状態の落差が社会的重力として作用する。たとえば貧乏(あるいは独身)なだけでは自殺のリスク要因にならないが、富裕(あるいは結婚した状態)から貧困独身への変化はリスク要因になる。
  2. 自己への帰属: 自己を非難し糾弾することは、文化を超えて自殺の共通項である。鏡の中の自己像――無価値、恥辱、罪深さや不適格という感情)と、自分が暴露・侮辱・拒否されているという感覚が映し出された像――は私たちに自己嫌悪を生じさせ、この世界で生きている価値がないように感じさせる。
  3. 自意識の高まり: 本説の核心は、自殺の動機が不快で鋭利な自意識から逃れたい欲求であるということにある。自己破壊の思考回路にはまり込むと、自己中心的になり、自分の欠点に執着するようになる。結果として自分がいかに卑劣で、可愛げがなく、無用な人間であるかをつねに考え、自分を意識することが苦しいものになる。
  4. 否定的感情: 自殺の大部分は現在の圧倒的な否定的感情(いわゆる精神痛)から逃げたいという欲求によって動かされている。ほんとうに自殺を考えている人の場合、意識は正常には機能しなくなっている。
  5. 認知的解体: 認知的にものごとがバラバラになって、低次の基本的な要素になってしまう。時間が這うように過ぎる。具体的思考が多くなる。「感情死」の状態に入る。
  6. 抑制解除: 認知的解体の結果、自殺の抑止力(道徳的な懸念や自己保存本能など)が取り払われる。自殺未遂は死に対する恐怖を軽減し身体的苦痛への耐性を高める(すなわち自殺のための能力を獲得する)ため、自殺を的確に予測する指標となる。

あとがき

まえがきを含めて、ジェシー・ベリング 『ヒトはなぜ自殺するのか』(化学同人、2021年)より。リストは本文を要約して作成しました。

まえがきの「彼」は、社会心理学者のロイ・バウマイスター (Wikipedia)。著者が彼の「自己逃避としての自殺」(1) という論文を読んで実施した彼へのインタビューにほぼ一章が割かれています。

インタビューの終盤では、こういったプロセスを知ることは自分の問題を別の角度から見る助けになると述べています。

  • タイトルヒトはなぜ自殺するのか
  • 著者: ジェシー・ベリング(著)、鈴木光太郎(翻訳)
  • 出版社: 化学同人
  • 出版日: 2021-01-31

参考文献

(1) Baumeister, Roy F. “Suicide as escape from self.” Psychological review 97.1 (1990): 90.

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