【読書】リストの言葉を自分の言葉に置き換える

本を読んで学んだことをリストにしておく人は多いと思います。リスト化の力を生かして、より「濃い」読書メモを作りましょう。

1. 抜き書き

文字通り、リストを抜き書きする方法です(まるごと引用するのですから、厳密にはリスト「化」とは言えませんね)。

例えば、わたしの手元には本田 直之さんの『レバレッジ・リーディング』という本からの抜き書きがあります。

レバレッジ・リーディングの7ステップ

ただし、著者自身によるまとめがあっても、リストをそのまま抜き書きすることが最善の学習方法とは限りません。情報建築家のリチャード・ワーマンは、『情報選択の時代』で学習の「第一法則」をこう定義しています。

「人間は新しい何かを、すでに理解しているものと相対させることでしか学ばない」

ですからできるだけ、次に述べる「言い換え」によって、自分がすでに理解しているものと関連づけてみるべきでしょう。

※もっとも頻繁に抜き書きをする「見出し」のリスト化については、次の項で解説します。

2. 言い換え

本の中のリストを自分なりの言葉で言い換える、あるいはリストに言葉を補足するということです。

以下は、「7つの習慣」をはじめて読んだときの自分の言い換えリストです。

「7つの習慣」

簡単に解説しておきます。「インサイドアウト」は実際には第一の習慣ではなく私的成功(第一から第三の習慣)を貫く概念ですが、わたしには第一の習慣の内容を思い出すきっかけとなる言葉です。第二の習慣では、冒頭に「自分の葬儀に立ち会う」という有名な(そして目的意識を高める上ではたしかに効果の高い)エクササイズがあります。第三の習慣は、本の中に出てくる「時間管理のマトリックス」の軸の名前、第四の習慣は「Win」の順序を意味しています。第五の習慣はそのまま覚えてしまいました。第六の習慣は「第三案」という言葉がかねがね考えていたことをうまく表現してくれていたので。第七の習慣は、要するに継続的な改善が大事だと理解しました。

自分の言葉に置き換えることで、著者の意向からはズレた学びになるかもしれません。でも忘れてしまうよりはいいし、自分の言葉に置き換えておくことで、時間を置いて読み直してみたときに「そういう理解では甘かったのだな」ということに気がつくこともあります。

たとえば第七の習慣。「刃を研ぐ」という、どこか芝居がかった比喩よりは章の内容をずばり書いておいたほうが覚えやすいはず。そう思ったので「カイゼンを続けよ」と言い換えて覚えていました。

しかし数年後に読み返してみると、ここのところで「健康」に言及してあることに気が付きました。もちろん最初に読んだときも目には入っていたはずですが、健康に対する問題意識が低かったので読み過ごしてしまったのでしょう。

健康は永遠に改善し続けるというよりは維持するものです。改善に加えて維持、つまり「常にベストパフォーマンスを出せるように備える」という意味合いも込めるとすれば、「カイゼンを続けよ」よりも「刃を研ぐ」の方がしっくりくる表現です。ここでようやく腑に落ちたので、第七の習慣も「刃を研ぐ」に置き換えました。

なんのことはない、結局は数年を経て元のリストの表現に戻ったわけです。しかし、その言葉の解釈は大きく違っています。ただ丸暗記した状態とは違い、「他でもないその言葉がそこに置かれている理由」が自分なりにはっきりしています。

ですから、どんどん言い換えてみましょう。もし借りた本などで見つけたリストであれば、オリジナルのリストも抜き書きしておいたほうがいいですよ。時間が経ってから著者の意図が分かってくることがあるかもしれませんので。

「言い換え」には上記のような「本の中のリストの言い換え」の他に「見出しの言い換え」があります。これについては次の項で説明しています。

3. 全体の要約

本にはまとめがなかったが、いい本だったので中身を思い出せるようにしたい。そういう場合には全体を要約してリストを作りましょう。

よく構造化された本であれば、次項で述べるように見出しをリスト化することで要約ができます。そうでない場合は……とにかく印象に残った「言葉」をリストに盛り込んでおくことをお勧めします。

以下は、『すごい考え方』という本をリスト化した読書メモです。

『4行に圧縮した「すごい考え方」』