まえがき
『ブルシット・ジョブとは、被雇用者本人でさえ、その存在を正当化しがたいほど、完璧に無意味で、不必要で、有害でもある有償の雇用の形態である。とはいえ、その雇用条件の一環として、本人は、そうではないと取り繕わなければならないように感じている。』
リスト
- 取り巻き (flunkies) … だれかを偉そうにみせたり、だれかに偉そうな気分を味わわせるという、ただそれだけのために(あるいはそれを主な理由として)存在している仕事をする者。封建的家臣。
- 脅し屋 (goons) … その仕事が脅迫的な要素をもっており、その存在を他者の雇用に全面的に依存している人間たち。
- 尻ぬぐい (duct tapers) … 組織に欠陥が存在しているためにその仕事が存在しているにすぎない雇われ人。
- 書類穴埋め人 (box tickers) … ある組織が実際にはやっていないことをやっていると主張できるようにすることが主要ないし唯一の存在理由であるような被雇用者。
- タスクマスター (taskmasters) … もっぱら他人への仕事の割り当てだけからなる仕事か、他者のなすべきブルシットな業務をつくりだす仕事を役割とする者。
あとがき
まえがきを含めて、デヴィッド・グレーバー 『ブルシット・ジョブ――クソどうでもいい仕事の理論』(岩波書店、2020年)より。
まえがきは第1章「ブルシット・ジョブとは何か?」の結論に相当する文章の引用です。リストは第2章「どんな種類のブルシット・ジョブがあるのか?」からの抜き書き(一部編集)です。
それぞれの類型を象徴する職業が添えられればよかったのですが、少々面倒だったので端折ってしまいました。
すこしわかりづらい「脅し屋」について例を挙げると、企業の顧問弁護士、ロビイスト、広報専門家、テレマーケターなど。これらは誰かを脅したり操ったりするためにつくり出された仕事で、あたかも他国が軍隊を擁しているからという理由で国家が軍隊を必要とするのに似ていると説明されています。
- タイトル: ブルシット・ジョブ――クソどうでもいい仕事の理論
- 著者: デヴィッド・グレーバー(著)、酒井 隆史(翻訳)、芳賀 達彦(翻訳)、森田 和樹(翻訳)
- 出版社: 岩波書店
- 出版日: 2020-07-30