まえがき
『フレイルは(略)3つの因子で構成されている。老化の進行を緩め健康寿命を延ばすためには、3つのバランスを取ることが欠かせないとの考えで、仮に1つが損なわれると、負のスパイラルが起きる』
リスト
- 身体的フレイル:低栄養・筋力低下・転倒しやすい
- 心理的・認知的フレイル:閉じこもり・孤立・孤食
- 社会的フレイル:閉じこもり・独居・経済的困窮
あとがき
まえがきを含めて、樂木 宏実 (監修) 『老化はこうして制御する 「100年ライフ」のサイエンス』 (日経BP、2020年)より。
フレイルとは『高齢期において、加齢による臓器機能の変化や予備能力の低下によって介護に至るリスクや過程を定義したもの』(本文より)。
フレイルの因子ということはフレイルをもたらすものだと思うのですが、フレイルの因子にもフレイルと命名されていることで、すこしわかりづらくなっている気もします。
たとえば「独居はフレイルの社会的因子」なのでしょうが、独居は社会的フレイルそのものではないですよね。独居で自立している人もたくさんいるので。「独居は社会的フレイルの因子」であれば納得しやすいですが、そうなると事象としての「社会的フレイル」の定義が必要になってしまいます。
……と思ってすこし検索してみると、『フレイルの社会的側面を表す「社会的フレイル」は、身体的フレイルに先行するとされ注目が集まっているが、社会的フレイルに関するエビデンスはまだ乏しい』(1)という論文がありました。側面 (aspect) という位置づけは因子 (factor) より納得しやすいですが、いずれにせよ(ザ・)フレイルと◯◯フレイルの関係はこれから整理されていくのかな。
- タイトル: 老化はこうして制御する 「100年ライフ」のサイエンス
- 著者: 樂木 宏実(監修)
- 出版社: 日経BP
- 出版日: 2020-11-19
参考文献
(1) 阿部紀之, 井手一茂, 渡邉良太, 辻大士, 斉藤雅茂, & 近藤克則. (2021). 社会的フレイルの指標に関する文献レビューと内容的妥当性の検証. 日本老年医学会雑誌, 58(1), 24-35.