哲学の、3つの根源的動機(ヤスパース)

まえがき

『総括して申しますと、「哲学すること」の根源は驚異・懐疑・喪失の意識に存しているのであります。』

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  • 【驚異】 驚きから問いと認識が生まれる
  • 【懐疑】 認識されたものに対する疑いから批判的吟味と明晰な確実性が生まれる
  • 【喪失】 人間が受けた衝撃的な動揺と自己喪失の意識から自己自身に対する問いが生まれる

あとがき

まえがきを含めて『哲学入門』より。解説部分は本文をすこし編集して引用しています。
最初の2つはスッっと納得できました。カール・セーガンの指針「不思議なことに驚嘆する心と、健全な懐疑精神の結婚」が思い出されます。セーガンの指針では両者が並立していますが、本書ではまず驚きがあり、それが懐疑へとつながるという順序で説明されています。
3つめの自己喪失は分かりづらいのですが、すこし狭い文脈では、後に引用しているように「限界状況」とも言い換えられています。人間が超えることも変えることもできない状況(たとえば死)は『かの驚きや懐疑についで、哲学のいっそう深い根源なのであります』とのこと。
さて著者はこれらを「根源」といいながら、実はその奥にもう一つの要素があるよ、と話を展開します。それが著者のキーワードである「交わり」。
『そこで、 哲学の根源は驚異・懐疑・限界状況の経験のうちに存するのでありますが、しかし究極的にはこれらすべては総括して、本来の意味における交わりへの意志のうちに存するのであるといわれるのです。』

(書影)
  • タイトル:哲学入門改版
  • 著者:カルル・ヤスペルス/草薙正夫
  • 出版社:新潮社
  • 出版日:2005年04月

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