まえがき
『精神(心)の本質に関する見解は、一般に、三つしかないとされている。』
リスト
- 精神の現実と無生物の現実はまるで違うとする二元論
- 物質的な現実は精神のなかにしか存在しないとする観念論
- 精神的な現象はすべて物質の動きに還元できるとする素朴唯物論
あとがき
まえがきを含めて、カルロ・ロヴェッリ『世界は「関係」でできている: 美しくも過激な量子論』 (NHK出版、2021年)より。本文を編集してリストとして引用しています。
著者は、前二者は人間も自然法則に従う存在であるという増え続ける証拠と矛盾するし、唯物論も主観経験と両立しづらいとして斥けます。そのうえで『だがじつは、他にも選択肢はある』と述べて自身の見方を披露します。
対象物の属性が別の対象物との相互作用によって生じるとすると、心的な現象と物理的な現象の隔たりはかなり小さくなる。物理的な変数も、心の哲学者たちのいう「クオリア」――「赤が見える」といった基礎的な心的現象――も、概ね複雑な自然現象と見なすことができるのだ。
- タイトル: 世界は「関係」でできている: 美しくも過激な量子論
- 著者: カルロ・ロヴェッリ(著)、冨永 星(翻訳)
- 出版社: NHK出版
- 出版日: 2021-10-29