まえがき
『一人称的体験科学という方法によって、三人称的な自然科学的研究や、インタビューなどによる二人称的研究では手の届かなかった、体験世界への直接的な探求が可能になる。』
リスト
- 体験から距離をおいて平静に語れること
- 関与しながら心を観察する専門的なトレーニングを積んでいること
- 多様な学問的・宗教的視点をもっていること
- 初期仏教の視点で分析すること
あとがき
まえがきを含めて、石川 勇一『修行の心理学: 修験道、アマゾン・ネオ・シャーマニズム、そしてダンマへ』 (コスモス・ライブラリー、2016年)より。リストは本文の見出しからの引用です。
修行の心理学というタイトルに興味をそそられて本書を手に取りました。通常、修行はある目的のための手段と位置付けられると思うのですが、修行そのものに興味を持つ方がいらっしゃるのですね。
本リストは『ネオ・シャーマニズムの研究者自身の体験を分析するために、一人称的体験科学を可能な限り厳密にするにするために貢献する条件とはなんであろうか。』という問いに答えるかたちで掲げられています。よってタイトルにもネオ・シャーマニズムという言葉を添えて文脈を限定したほうがよいのですが、長くなってしまうのであきらめました。
三人称的、二人称的、一人称的な研究という切り口が面白かったので収集。なるほど、直接体験によってしかわからないことがらについては、相応のアプローチが必要になると理解しました。一人称的体験科学という言葉は著者の造語のようですが「一人称科学」「一人称研究」といった言葉で検索すると、関連する書籍や論文がヒットします。
第4項目について補足。初期仏教の視点を取り入れるのは『宗教を超えた普遍性のある法則(ダンマ)が説かれているから』とのことでした。
- タイトル: 修行の心理学: 修験道、アマゾン・ネオ・シャ-マニズム、そしてダンマへ
- 著者: 石川 勇一(著)
- 出版社: コスモス・ライブラリー
- 出版日: 2016-11-09