まえがき
『病気を科学的、医学的に見れば、「細胞・組織・器官レベルでの失調」ということになるでしょう。しかし、病気を当人の立場から見るとき、それはどういう体験なのでしょうか。』
リスト
- 身体の不都合: 痛みがあったり歩けなくなったりすること。いままでできていたことができなくなること、つまり能力が削られて欲望とのバランスが壊れる
- 不条理感: 重い病気や治療が長期にわたる病気の場合、人は不条理感を抱く。「なぜ自分だけがこうなんだろう」という思いに悩まされる
- 自己了解の変様の要請: 自己了解とは「人生をどのように理解しているか」という意味。つまりこれまでの人生の物語の書き換えを求められる
あとがき
まえがきを含めて、西 研『NHK出版 学びのきほん しあわせの哲学』 (NHK出版、2021年)より。引用元は行岡 哲男『医療とは何か: 現場で根本問題を解きほぐす』 (河出書房新社、2012年)とのこと。行岡の定義に著者が解釈を添えた文章を編集・引用しています。
病気という「できごと」を、人はどう「体験」するか。病気に限らず、失敗や挫折、老化などが人生の物語の書き換えにつながるメカニズムを端的に表しているように思えます。
参考文献
- タイトル: 医療とは何か: 現場で根本問題を解きほぐす
- 著者: 行岡 哲男(著)
- 出版社: 河出書房新社
- 出版日: 2024-01-29
(2024年出版の新装版へのリンクを貼っています)