まえがき
ある特定の領域の専門知識や技能に秀でている熟達者は、その領域の問題について効率よく考えることができる。したがって、熟達化とは何かを理解することは、思考や問題解決に関する重要な知見を提供してくれる。
リスト
- 熟達者は、初心者が気づかないような情報の特徴や有意味なパターンに気づく。
- 熟達者は、課題内容に関する多量の知識を獲得しており、それらの知識は課題に関する深い理解を反映する様式で体制化されている。
- 熟達者の知識は、個々ばらばらの事実や命題に還元できるようなものではなく、ある特定の文脈の中で活用されるものである。すなわち、熟達者の知識は、ある特定の状況に「条件づけられた」ものである。
- 熟達者は、ほとんど注意を向けることなく、知識の重要な側面をスムーズに検索することができる。
- 熟達者は、自分が専門とする分野について深く理解しているが、それを他者にうまく教えることができるとは限らない。
- 熟達者が新奇な状況に取り組む際の柔軟性には、様々なレベルがある。
あとがき
まえがきを含めて『授業を変える―認知心理学のさらなる挑戦』より引用。この本では、まず「熟達」という状態を定義して、「熟達化」のプロセスを解明し、学習に取り入れようとしています。日本にも「匠」は多いので、このような科学的というか工学的なアプローチでの研究が進展するといいですね。
- タイトル: 授業を変える: 認知心理学のさらなる挑戦
- 著者: 米国学術研究推進会議(著)、ジョン・ブランスフォード(著)、アン・ブラウン(著)、ロドニー・クッキング(著)、森 敏昭(監修)、秋田 喜代美(監修)、米国学術研究推進会議(編集)、National Research Council(その他)、John Bransford(その他)、Ann L. Brown(その他)、Rodney R. Cocking(その他)、森 敏昭(翻訳)、秋田 喜代美(翻訳)、21世紀の認知心理学を創る会(翻訳)
- 出版社: 北大路書房
- 出版日: 2002-10-01