まえがき
『本研究では、通常の組織運営や創発戦略の生成・実現に際してミドル・マネジメント層が苦労する組織を「重い組織」と呼び、そのような組織劣化の程度を組織の 〈重さ〉 と呼ぶ。(略)われわれは当初、この組織の劣化度を次の4次元で概念化できると想定して研究に着手した。』
リスト
- 過剰な「和」志向 …… 「和」を乱す行為を忌み嫌い、「和」を維持できる人間を社内で高く評価する傾向
- 経済合理性から離れた内向きの合意形成 …… 読んで字のごとく、意思決定にあたって顧客への価値や対競合の競争力を向上させるよりも、社内の合意の取りやすさを優先する傾向
- フリーライダー問題 …… 自分のことは棚に上げて、いつも「経営陣が悪い」とか「会社が悪い」と他者を批判するいわゆる「社内評論家」や、会社の業績を人ごとのように考える当事者意識の低い人間、さらには自分の仕事を部下に「丸投げ」するような管理職など、「他人の努力にただ乗り(フリーライド)」する人間が多いこと
- 経営リテラシー不足 …… 経営陣が1~3のような問題を是正できず、また戦略的な思考ができない、すわなち、経営者としての力量が足りない状態
あとがき
まえがきは、沼上 幹『組織の〈重さ〉: 日本的企業組織の再点検』 (日経BPマーケティング(日本経済新聞出版、2007年)より。リストはその4次元を引用している『衰退の法則』からの引用です。
研究の結果、これら4次元は全く独立ではなく、上位の次元として1と2を集約した「内向き調整志向」と3と4を集約した「組織弛緩性」を見出し、それらをもって組織の〈重さ〉を定義しています。
- タイトル: 組織の〈重さ〉: 日本的企業組織の再点検
- 著者: 沼上 幹(著)
- 出版社: 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
- 出版日: 2007-08-01