まえがき
『これら四種類の欲動が、我々の行動すべての基礎になっている。』
リスト
- 獲得への欲動: 社会的地位など無形なものも含めて、稀少なものを手に入れること (drive to acquire)
- 絆への欲動: 個人や集団との結びつきを形成すること (drive to bond)
- 理解への欲動: 好奇心を満たすことや自分の周りの世界をよく知ること (drive to comprehend)
- 防御への欲動: 外部の脅威からわが身を守り、正義を広めること (drive to defend)
あとがき
まえがきを含めて、ニティン・ノーリア、ボリス・グロイスバーグ、リンダ=エリン・リー 「新しい動機づけ理論」(所収:DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー編集部『【新版】動機づける力―モチベーションの理論と実践 』 、ダイヤモンド社、2009年)より。書名が示唆するように、人間の生への欲動というよりは組織で働くうえでの欲動の分類。
新しい理論といっても論文が出たのは2008年。そして欲動と訳されている4種の “drive” は2002年の “Driven” という本で既出とのこと。テーマ的に目を通していそうに思いましたが未読なので調べてみると、2013年に訳出されていました。こちらでは、drive は衝動と訳されています。
欲動は心理学方面の本でお目にかかる程度で、あまり使われない言葉。ただ、欲求と衝動が合わさったような、原初的な感情という語感があります。衝動は衝動買いが象徴するように刹那的なニュアンスがあります。しかし人を「衝〈つ〉き動かすもの」という意味では drive の訳語として候補になり得ます。悩ましい。
著者らは “drive” を社員のモチベーションの源であると述べています。
(略)調査の結果、四種類の欲動を満たす組織能力によって、平均的に社員のモチベーションのばらつきの六割を説明できることが示された。従来の理論では、三割を説明するのがせいぜいだった。
- タイトル: 【新版】動機づける力: モチベーションの理論と実践
- 著者: DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー編集部(著)
- 出版社: ダイヤモンド社
- 出版日: 2009-10-09
- タイトル: ハーバード・ビジネススクールの〈人間行動学〉講義―人を突き動かす4つの衝動
- 著者: ポール・R.ローレンス(著)、ニティン・ノーリア(著)
- 出版社: ダイレクト出版
- 出版日: 2013-06-01