まえがき
『宗教は私たちに何をしてくれるのだろう?この疑問に対して、過去一世紀のあいだ多くの研究者が答えを提案してきた。それは大きく五つのテーマに分類することができる。』
リスト
- 【科学】宗教は原始的な科学の一形態である。
- 【健康】宗教は医学的介入の一形態である。
- 【協力】宗教は協力の強制手段である。
- 【支配層】宗教は政治的抑圧の仕組みである(カール・マルクスの言葉を借りれば民衆のアヘンだ)。
- 【集団結束】宗教は共同体結束の仕組みである。
あとがき
まえがきを含めて、ロビン・ダンバー『宗教の起源――私たちにはなぜ〈神〉が必要だったのか』 (白揚社、2023年)より。リストは本文中の箇条書きと、図表中の文字から引用して作成しました。引用文献は示されていませんでした。
この5つのメリット(書籍のほかの箇所では機能とも呼ばれている)は「外的脅威」と「集団規模」という2つの変数を介して絡みあっています。
文章で表現を試みると、まず宗教のダイレクトな機能として挙げられるのが【科学】【健康】【集団結束】。「外的脅威」の増大は「集団規模」増加の圧力となり、集団の【支配層】による抑圧ないし【協力】という機能が発現します。
著者はこの5つの仮説を3つにくくり直しており、こちらもわかりやすいのでリスト形式にして引用します。
まずは五つの古典的な説を三つに振りわけて、それぞれの根拠にざっと触れておこう。
- 個人レベルの利益をもたらすもの(世界を説明する手段としての宗教、医学的介入手段としての宗教)、
- 社会レベルの利益をもたらすもの(正しい行動をさせるための宗教、上層部の利益のために大衆を抑圧するための宗教)、
- そして共同体結束の仕組みとしての宗教である。
- タイトル: 宗教の起源――私たちにはなぜ〈神〉が必要だったのか
- 著者: ロビン・ダンバー(著)、長谷川眞理子(解説)、小田哲(翻訳)
- 出版社: 白揚社
- 出版日: 2023-10-03