まえがき
『脳は利他的脳理論の5ステップを通して、神経科学的メカニズムを実行し、利他的な行動を生成する。』
リスト
- 随伴反射: 脳は、自分が他人に対して行おうとする行為をあらかじめ想起できる
- 行為対象の知覚: 行為の対象となる他者をイメージする
- イメージの統合: 他者のイメージと自己のイメージと重ね合わせることができる
- 利他的脳を生み出す: これからなされる行為の結果を評価する“感覚”が想起される。前頭前野のニューロンはその感覚に対して肯定的または否定的な評価を下す
- 利他的行為の実行: 肯定的な評価の場合、行動が実行される
あとがき
まえがきを含めて、ドナルド・W・パフ『利己的な遺伝子 利他的な脳』 (集英社、2024年)より。リストは本文と福岡伸一氏によるわかりやすい「日本版序文」から一部を編集し引用しています。
本書の中心的な主張は、脳は利他的であるよう回路づけられているのであって、「情けは人のためならず」(利他的なふるまいはつまるところ自己利益のためである)では必ずしもないということです。
まえがきの文が含まれる「善行は駆け引きではない」の最初の段落を引用します。
善行は駆け引きではない
まとめよう。脳は利他的脳理論の五つのステップを通して、神経科学的メカニズムを実行し、利他的な行動を生成する。ここで強調しておきたいのは、そのような行動は、ある人が他人のために何か善行をし、(その相手も自分のために善行をしてくれると思うから)、その後、相手が(義務感から)善行を返すという「駆け引き」の一部ではないということだ。先ほど述べた脳のメカニズムには、そういった計算は含まれない。
- タイトル: 利己的な遺伝子 利他的な脳
- 著者: ドナルド・W・パフ(著)、福岡 伸一(翻訳)
- 出版社: 集英社
- 出版日: 2024-06-05