まえがき
他人に対する愛情のこもった慈善的な態度(いわば“隣の聖人”)とは。
リスト
- カンティアニズム(カント主義) ― 人間性を(ある目的の手段としてではなく)目的として人に接する
- ヒューマニズム ― 一人ひとりの尊厳と価値を尊重する
- 人道への信念 ― 人は根本的に善であると信じる
あとがき
“The ‘light triad’ that can make you a good person” (BBC) より。参考文献(1) の成果を紹介する記事でした。
“Light” に「善良な」という意味は、少なくとも辞書には、ありません。ただ、有名な 「邪悪な3性格(Dark triad)」と対照的な人間性を見出そうという研究成果なので、その意味合いがわかるように意訳しました。
まえがきは、論文の Abstract ‘The LTS is a first draft measure of a loving and beneficent orientation toward others (“everyday saints”)’ からの意訳です。“everyday saints” という表現がいいなと思って。
リストも、同論文のAbstractと本文から訳出しました。原文は以下。
- Kantianism (treating people as ends unto themselves)
- Humanism (valuing the dignity and worth of each individual)
- Faith in Humanity (believing in the fundamental goodness of humans)
「カンティアニズム」という言葉は一般的でないと思いますが、”Dark Triad” の一つ「マキャヴェリズム」を踏まえての命名なのでそのまま採用し、「カント主義」という言葉を添えました。「人間性を目的とする」というわかりづらい表現は、イマニュエル・カント本人の言葉から来ています。
君の人格ならびにすべての他者の人格における人間性を、けっしてたんに手段として用いるのみならず、つねに同時に目的として用いるように行為せよ
カント 『道徳形而上学原論 』 (岩波書店、1976年)
参考文献
(1) Kaufman, Scott Barry, et al. “The Light vs. Dark Triad of Personality: Contrasting Two Very Different Profiles of Human Nature.” Frontiers in psychology 10 (2019): 467.