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呼吸器系パンデミックの脅威度を推し量る2つの指標

COVID-19の脅威の大きさを、スペイン風邪・MERS・SARSなど過去の呼吸器系パンデミックと比較する基準になるのは何か。

まえがき

COVID-19の脅威の大きさを、スペイン風邪・MERS・SARSなど過去の呼吸器系パンデミックと比較する基準になるのは何か。

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  • 【深刻度】 例えば致命割合(CFR):医療機関にその病気の診断を下された後で死亡する割合
  • 【伝播性】 例えば基本再生産数(R0):“その病気にかかったことがなく、抗原に曝露されておらずきわめて感染しやすい集団における”一次感染者が引き起こす二次感染者の予想平均数

あとがき

ニコラス・クリスタキス 『疫病と人類知 新型コロナウイルスが私たちにもたらした深遠かつ永続的な影響』(講談社、2021年)より。R0 は 「アール・ノート」と読むそうです。

2020年3月、著者はこの感染症の脅威の大きさを把握するために「古典的なアプローチ」として横軸にCFR、縦軸にR0を取り、20世紀の呼吸器系パンデミックをプロットします。

このグラフに、当時入手できた中国での感染データにもとづいてたCOVID-19の推定値(CFRは5~6%、R0は4~5程度)を追加すると、スペイン風邪よりは小さいもののやはり深刻な脅威で、20世紀のアメリカでは最大の脅威だった1957年のパンデミックよりもさらに右上の(深刻度も伝播性も高い)位置になりました。

その1957年のパンデミックのデータを今回に当てはめるとアメリカでの死者は約30万人。著者は『大規模な活動停止を実施しているにもかかわらず、アメリカがこの数字を上回ることは確実だろう』と推論します。

2020年3月上旬といえば、トランプ大統領が「いずれ収まる。奇跡のように消えてなくなるだろう」と言っていた時期です。ちなみに「消毒液を体内に入れてみたら」発言は4月。

2021年7月現在、アメリカの死者は60万人を超えています。振り返ってみると、著者の大まかな推定はかなり的確だったことがわかります。

多様な推定方法を試みたでしょうから生き残りバイアスがかかっている可能性もあります。ただ、結果を左右するであろう重要な因子を絞り込み、信頼できるデータを未来に外挿しておおまかな将来像を描くという、未来予測の事例としても面白いと思い収集。

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