キルスコアを測る5つのカテゴリー


まえがき

『本書では、これから、環境危機と社会危機について論じる。(略)5つの分野のキルスコア ――すなわち将来的な殺人の規模―― を調査し、死者数を割り出していく。』

リスト

  • 炭素排出と気候危機: 標準的な推計でも、気候変動に関連する累積死者数は、2100年には8000万人弱にのぼるとされている。
  • 廃棄物汚染: プラスチックごみや排気ガスの発生量が現在の水準にとどまると仮定すれば、2020年からこんせいきまつまでの累計死者数はおよそ3憶2000万~4億人と推計される。
  • 労働関連死: 過重な労働、つまりグローバルな生産とサプライチェーンがもたらす致死的な影響に関しては、状況が変わらなければ今世紀末までの死者数は約1億6000万人となる。
  • 匿名消費と孤独: 匿名消費とは他人と直接顔を合わせずに行われる経済活動を指す。匿名消費は孤独をつのらせる。匿名消費と孤独による死を広範に分析した研究は存在しないが、孤独は早死にのリスクを26パーセント高める。
  • 暴力・戦争・紛争: 気候変動、廃棄物、労働、匿名消費におけるキルスコアが暴力や紛争や戦争によって増大することは、研究によってはっきりと示されている。

あとがき

ヤコブ・トーメ『ザ・キルスコア 資本主義とサステナビリティーのジレンマ』 (日経ナショナル ジオグラフィック、2023年)より。

著者はキルスコアというアイディアを系統的音楽学センターの所長であるリチャード・パーンカットの論文から得たと述べています。

内容は、人間を1人死に追いやるのにどれだけの温室効果ガスが必要か、というものだった。(略)もし、死者を出す温室効果ガスの最小値(閾値)を算定できれば、それが死に追いやる人の数――キルスコア――の出発点となるはずだ。

    参考文献

    [1] Parncutt, Richard. “The human cost of anthropogenic global warming: semi-quantitative prediction and the 1,000-tonne rule.” Frontiers in psychology 10 (2019): 2323.

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