まえがき
芸術作品についての批評を理解するために問いかけるべき質問とは。
リスト
- 判断:批評の過程で行われた言明(この映画はふざけすぎている)
- 理由:誰かに求められたとき与えられる正当化の根拠(こういう映画は真面目に始めておどけた終わり方をしてはいけない)
- 仮定:理由や判断の背景にある未検証または無自覚の原理(こういう映画には、偽りがあってはならない)
- 公理:エンドクサ。仮定を裏打ちする一般的な真理。公理はたいてい芸術とほとんど関係がない(分別は究極の善である)
あとがき
ジェームズ・エルキンス『なぜ美術は教えることができないのか: 美術を学ぶ人のためのハンドブック』 (三元社、2023年)より。本文を編集・引用してリスト化しました。カッコの中は事例です。
タイトルは質問の連鎖ですがリストは説明です。「この批評はどういう判断を下しているのか?」と読み替えていっていただければ。
この質問の連鎖は、教師による作品の批評を学生がよく理解するためにこう考えてはどうか、といった文脈のなかで提案されています。
『仮定と公理は実質的に同じだと言える。』という記述がありました。とすると、判断-理由-(仮定・公理)は、主張-小前提-大前提という演繹法と同じ組み立てであることが明らかになります。
- タイトル: なぜ美術は教えることができないのか: 美術を学ぶ人のためのハンドブック
- 著者: ジェームズ・エルキンス(著)、小野康男(翻訳)、田畑理恵(翻訳)
- 出版社: 三元社
- 出版日: 2023-05-09