まえがき
『コーチと呼ばれているものの範囲というのは、実は相当広いと思います。(略)その役割は、人によって異なるのですが、おおまかに分けるとおよそ4つのことを行っています。』
リスト
- 教える: 知識を提供する
- そのまま伝える: 他からどう見えているかをフィードバックする
- 揺さぶる: 本人の思い込みを気づかせ、新しい世界に踏み出すきっかけをつくる
- 気づかせる: 客観的に俯瞰し「何ができて、何ができてないのか」を伝える
あとがき
まえがきを含めて、為末 大、今井 むつみ『ことば、身体、学び 「できるようになる」とはどういうことか』 (扶桑社、2023年)より。リストは本文中の為末氏の発言を編集・引用して作成しました。
氏は「気づかせる」のところでこう述べています:
この4つ目まで踏み込める人はそう多くはありません。これに関しては、 本人ですら気づいていない視点に気づかせることができる点で、競技を超えたインパクトがあります。
(強調は引用元による)
この前段には、カーネマンのファストシステムとスローシステムの話がありました。スポーツにおける熟達とは、自分のファストシステムによる意思決定を信じてよい範囲を的確に見極めることである、しかし自分だけでその見極めができるようになるのは難しい、それを支援し気づかせるのがコーチの役割ではないか……。といった対話です。それを受けて、そもそもコーチの役割とは、と氏が語ったのがリストにまとめた話でした。