投稿者: koji

  • イベントをよい経験として想起してもらうためのデザイン原則

    まえがき

    イベントへの参加者が、後日経験を振り返ったときに「良い経験だった」と思い出してくれるようにするために、デザイナーが守るべき原則とは。

    リスト

    あとがき

    『複雑さと共に暮らす―デザインの挑戦』第7章「待つことのデザイン」より。文章をリスト化して引用しました。

    たとえば遊園地で遊ぶというイベントには、不愉快な経験(待ち時間)と愉快な経験(アトラクション)が混在しています。『人間の記憶の研究では、イベントの想起は経験の能動的な再構築であり、多くの歪みが起こることが示されている』そうですので、イベントの設計者からすると、客がトータルの経験を後でよい思い出として想起してくれることが重要なわけです。遊園地だけでなく、研修やプレゼンテーションなど「経験」を設計・提供する立場の人にとっては有用なリストではないでしょうか。

    リスト項目は、単一の研究結果の紹介ではありません。著者は南カリフォルニア大学マーシャルビジネススクールのリチャード・チェイスとスリラム・ダスの研究結果を挙げ、加えて『イベントの記憶に関する多くの研究結果は、次のようなデザイン原則を強化するものである』としてこれらの項目を列挙しています。

    • (国際)コミュニケーションの3原則

      まえがき

      『考えるべきなのは、自分たちのコミュニケーション方法が相手に通用しない場合にどうするかということだけだろう。これについて国際的なルールがあるわけではないが、次の三つの原則は存在するように思う。』

      リスト

      あとがき

      まえがきを含めて『不都合な相手と話す技術 ―フィンランド式「対話力」入門』より。解説部分は本文からの要約です。

      1、2はスッと納得。3に来てエッと驚愕。という感じでした。「身の安全を図る」が3要素の一翼を担うとは。たしかに、その言葉によって相手が大事にしている何か(宗教的な価値観とか、個人的なプライドとか)を傷つける可能性は常にあるわけです。

      そういった気づかいは、もちろん日本人同士のコミュニケーションでもなされてしかるべきなので、タイトルの国際にカッコをつけました。

      • 優秀なアニメーターの条件(ウォルト・ディズニー)

        まえがき

        『同年、ウォルトがグラハムに宛てて書いた洞察力あふれる長いメモには、それまで十六年の経験から引き出された彼のアニメーションに対する信条が、これまでになく明確に表れている。このメモの中で、ウォルトが優秀なアニメーターの資質としてあげた条件は、次のようなものであった。』

        リスト

        あとがき

        まえがきを含めて『ウォルト・ディズニー―創造と冒険の生涯』より。復刻版が出ているのでリンクはそちらに張りました。

        ウォルト・ディズニー氏のことを調べていて見つけたリストです。誰かの役に立ちそうな気がしたので収集しました。非常に具体的ですね。6番めとか特にいいなあ。オフィスワーカーでいえば「オフィス(OA)ソフトの機能に熟知していること。そうすれば、ささいな点で立ち往生することなく〜」という感じかしら。

        • 五事を正す(中江藤樹)

          まえがき

          中江藤樹(江戸時代の陽明学者)が重んじた、書経の言葉。

          リスト

          あとがき

          『「江戸しぐさ」完全理解―「思いやり」に、こんにちは』で、元々は書経(Wikipedia)の言葉であることを知りました。リストの文言は、サイト「近江聖人 中江藤樹」内のページ「教え」より引用させていただいたものです。

          コミュニケーションの心得にかなり通じるというか、そのものですね。ちなみに中江藤樹は『代表的日本人』の一人。

          • リーダーシップの永続的特質

            まえがき

            『リーダーはそれぞれに、野望のレベル、聴衆の大きさ、メッセージのユニークさという点で異なっているが、皆、六つの永続的特質と向かい合わなければならない。』

            リスト

            あとがき

            まえがきを含めて『「リーダー」の肖像―20世紀の光と影』より。一つながりの文章であったものをリスト化しました。
            「永続的特質」っていう訳は適当なんだろうかと思って原書にあたってみたところ、”enduring features”でした。たしかにこういう訳になるのかな。第3項目の「団体」は「組織」(organization)です。

            ハワード・ガードナーといえば多重知能理論の提唱者という側面しか知らなかったので、リーダーシップの著書があると知って驚きました。「ストーリー」という視点から11人のリーダーを掘り下げたユニークな書籍。

            • 対話相手のキーワードを拡げる4つの質問

              まえがき

              『「拡大質問」ができるようになるまで、少しトレーニングが必要になるのですが、次のようなイメージで考えていただくと、質問しやすくなるようです。』

              リスト

              あとがき

              まえがきを含めて『自分を立てなおす対話』より。「YES AND で相手の物語を進めるインタビューのコツ」の第一項目「相手のキーワードを拡げる」の、具体的な拡げ方がこれ。

              著者は、これらの拡げ方に方向性のイメージを付しています。前二者が話を横に展開する質問で、背景を問うのは下に掘り下げる、連鎖を問うのは上に拡げる質問です。

              背景のところでは「なぜそうなの?」とすると詰問調なので、「何」に変換するのが吉。こういうことは訓練が必要ですよね。特に子供とかには、どういう言葉を選んだらよいか分からなくなってしまうことがあるなあ。

              この本からの他のリスト

            • YES AND で相手の物語を進めるインタビューのコツ

              まえがき

              『「自分を語る対話」、自分のことを語りなおすには、相手の聴き方が決定的に重要になります。』

              リスト

              あとがき

              まえがきを含めて『自分を立てなおす対話』より。相手に自分のことを語ってもらうときの、簡にして要を得たコツ。第一項目についての具体的な質問は「対話相手のキーワードを拡げる4つの質問」に収録しています。

              3番はちょっと新鮮でした。「あなたの言いたいことは、〜ということだよね」と同じ意味ながら、I message なので決めつけ感が小さく、相手が自分を客観視するきっかけになるとのこと。

              この本からの他のリスト

            • 革新の原則

              まえがき

              『ワークアウトにはリスクテイクと実験への意欲が必要である。ホールマーク社では、革新のための哲学を表現するために、この言葉を使っていた。』

              リスト

              あとがき

              まえがきを含めて『GE式ワークアウト』より。ただしまえがきは少々編集しています。

              ホールマーク社ってグリーティングカードのHallmarkのことだと思うのだけれど、サイトにはこの言葉はないですね。その代わり、ソフトウェア開発方面でたくさん使われています。

              ということで今のところ詠み人知らず状態。タイトルも、本文中には明示されていなかったので、文脈的にふさわしかろうというものをつけました。

              革新も、小さな行動から。そしてFailが不可欠なプロセスとして組み入れられているのがいいですね。

              • タイトルGE式ワークアウト
              • 著者: デーブ・ウルリヒ(著)、スティーブ・カー(著)、ロン・アシュケナス(著)、高橋 透(翻訳)、伊藤 武志(翻訳)
              • 出版社: 日経BP社
              • 出版日: 2003-04-28
              • コッホの原則

                まえがき

                『いくつもの病気の原因が細菌であることを発見したコッホは、それを証明する際の三つの条件を示した。「コッホの原則」と呼ばれるものである。』

                リスト

                あとがき

                まえがきを含めて『動的平衡 生命はなぜそこに宿るのか』より。

                僕にとっては実用性のないリストです。しかし、次の記述に興味を引かれたので収集しておきたくなりました。
                『病原体とヒトとの戦いにおいて、「コッホの原則」は金字塔と言ってもよい指針だった』
                こういうシンプルなフレームワークが永く役に立っているという話が、好きなんですよね。

                さらに面白いのは『現在では、この三つの条件すべては満たさない病原体も存在することが明らかになっている』という記述があること。どの条件が破られたか、想像がつきますか?答えはWikipediaで。

                • 哲学の、3つの根源的動機(ヤスパース)

                  まえがき

                  『総括して申しますと、「哲学すること」の根源は驚異・懐疑・喪失の意識に存しているのであります。』

                  リスト

                  あとがき

                  まえがきを含めて『哲学入門』より。解説部分は本文をすこし編集して引用しています。
                  最初の2つはスッっと納得できました。カール・セーガンの指針「不思議なことに驚嘆する心と、健全な懐疑精神の結婚」が思い出されます。セーガンの指針では両者が並立していますが、本書ではまず驚きがあり、それが懐疑へとつながるという順序で説明されています。
                  3つめの自己喪失は分かりづらいのですが、すこし狭い文脈では、後に引用しているように「限界状況」とも言い換えられています。人間が超えることも変えることもできない状況(たとえば死)は『かの驚きや懐疑についで、哲学のいっそう深い根源なのであります』とのこと。
                  さて著者はこれらを「根源」といいながら、実はその奥にもう一つの要素があるよ、と話を展開します。それが著者のキーワードである「交わり」。
                  『そこで、 哲学の根源は驚異・懐疑・限界状況の経験のうちに存するのでありますが、しかし究極的にはこれらすべては総括して、本来の意味における交わりへの意志のうちに存するのであるといわれるのです。』

                  • タイトル哲学入門 (新潮文庫)
                  • 著者: ヤスパース(著)、正夫, 草薙(翻訳)
                  • 出版社: 新潮社
                  • 出版日: 1954-12-28