まえがき
『過去において国家が積極的に熱心に資本主義を導入せねばならなかったことの背景には、(略)公の価値や国家全体に関わる、単なる個々人の欲望以上の理由があり、またそうだからこそ現代社会は資本主義を手放すことができないのである。』
リスト
- 軍事力の基盤を確保するための資本主義:20世紀初頭までの英国は大陸側の陸軍に対抗するために海軍力で優位に立つ必要があった。海軍力は艦艇の建造など経済力に依存するので、経済力は国防力の基盤であった。現代世界では、軍事力の鍵は国内の半導体産業である。
- アメリカン・ドリームの舞台としての資本主義:資本主義は、丸太小屋から億万長者への夢の階段を許す経済形態である。現在の米国人が資本主義を死んでも手放すまいと思っているのは、それが夢とビジネス・チャンスを与えてくれるからである。
- 他国の資本主義から自国を守るための資本主義:19世紀の日本は「列強の経済的植民地になることを阻止する」を合言葉に資本主義を導入した。
あとがき
まえがきを含めて、長沼 伸一郎 『現代経済学の直観的方法』(講談社、2020年)より。リストは本文の要約で、著者が留保的な表現をしている部分を断言的に言い換えるなどしています。
オリジナリティが高くわかりやすい、よい本でした。本書の特長を象徴するリストでないのが残念。