まえがき
『以上の七つの面は、テーブルの脚のように一緒にはたらいて、私たちが自己と呼んでいるものを支えている。』
リスト
- 統一性: 多様な感覚体験や、さまざまな(ときに矛盾する)目標・記憶・情動・行動・信念・目下の気づきがまとまって単一の個人を形成しているように思える。
- 連続性: 自分のアイデンティティに時を通してつながる連続感をもっている。
- 身体性: 自分の体に固定され、それになじんでいると感じる。
- 私秘性(プライバシー): 自分のクオリアと精神生活は自分自身のものであり、ほかの人は観察できない。
- 社会的埋め込み: 自分に即して理解でき、相互作用のできる社会的環境の一部であると感じる。
- 自由意志: その気があればどれでも選べる行動の選択肢のなかから意識的にどれかを選択することができるという感覚をもっている。
- 自己認識: ほぼ自己の定義そのものである(自身に対する気づきのない自己というのは言葉が矛盾している)。自己認識は、ほかの人の視点から自分自身を見ることを可能にしている点に部分的に依拠している可能性がある。
あとがき
まえがきを含めて、V・S・ラマチャンドラン『脳のなかの天使』 (角川書店、2013年)より。リストは本文の要約・引用です。
学術的な定義ではなく、挙げてみた、という体でリストアップされていました。うまく括りなおせば「自我意識の4条件(ヤスパース)」に集約できそうに思います。
本書は、人が当たり前のように持っているこれらの側面が『錯覚や妄想や障害におかされやすい』ことを豊富な症例とともに説明してくれます。
- タイトル: 脳のなかの天使
- 著者: V・S・ラマチャンドラン(著)、山下 篤子(翻訳)
- 出版社: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 出版日: 2013-03-23