理性の三段階評価(苦情の分類、村上春樹)


まえがき

『我々はこの作業(注:苦情の分類)を「理性の三段階評価」と呼んでいます。しかしこれはもちろん、職業上の冗談です。気にしないで下さい。』

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  1. もっともな苦情。当方が責任を負わねばならぬケースです。我々は菓子折を持って客の家を訪問し、しかるべき商品と交換します。
  2. 同義的・商業習慣的・法律的には当方に責任はないのですが、デパートのイメージを傷つけぬため、無用のトラブルを避けるために相応の措置をとります。
  3. 明らかに客の責任であり、当方は事情を説明しておひきとり願います。

あとがき

まえがきを含めて、村上 春樹「カンガルー通信」(『中国行きのスロウ・ボート』所収、中央公論社、1997年)より。

常軌を逸しているとしか思えない行動に及んでいる主人公が、「職業上の冗談」と呼ぶ、まっとうな苦情の分類。痛々しくも恐ろしい。

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