まえがき
『我々が「話し合い」をイメージする際、(略)次の5つの「話し合いに関する病」が、日本全国で発生しているように感じます。』
リスト
- とりあえず、かみついちゃう病: 「対話のフェイズで、いったん、相手の意見を受容すること」ができず、ただちに「否定」したり、反論したり、最悪の場合には「論破」してしまう
- 対話ロマンティシズム病: 「対話が大切だ」と言って、ひたすら対話だけを行い、そこから議論や決断に向かわない。「対話」に一種のロマンティシズム(あこがれ)を抱いている人に起こる病
- みんな違ってみんないい病: 対話で表出するさまざまな意見の違いを、いったん自分の中で咀嚼して、その意味を考えることをせずに、「みんな違って、みんないい」を決め込んでしまう
- アンケートフォームで意見すいあげちゃう病: グループで物事を決めるときに、 しっかりと「対話」をしないで、強引にアンケートフォームなどを用いて意見をすいあげてしまう
- 誰もついてこない病: 議論を通じて決断した後、自発的フォロー(自分と違う意見が結論になったとしても、納得して、自発的に決まったことに貢献すること)がない
あとがき
まえがきを含めて、中原 淳『「対話と決断」で成果を生む 話し合いの作法』 (PHP研究所、2022年)より。リストは本文を引用(一部編集)して作成しました。
第2項目と第3項目は対話が自己目的化しているという点で同根のように思えます。しかし、1と2が対話というプロセスそのものの病、3以降が対話の帰結である決断の不全に関わる病と分類すると、分かれていたほうがいいのかな。
いずれにせよプロセス不全と結果不全が高じると、究極の病である「対話ゼロで、ただちに多数決病」が発病すると述べられています。