投稿者: koji

  • 公共性の3つの意味

    まえがき

    『政治学者の齋藤純一は、「公共性」には(略)という三つの意味があると述べています。』

    リスト

    あとがき

    まえがきを含めて、津田 正太郎『ネットはなぜいつも揉めているのか』 (筑摩書房、2024年)より。本文を編集してリスト化しました。参考文献[1]からの引用とのこと。

    「ネットは公共の場だ」というとき、そこに込めている意味が人あるいは状況によって違い得ます。その定義として鮮やかだったので思わず収集。

    著者は『齋藤はこの (1)、(2)、(3) がそれぞれ対立する関係にあると指摘していますが、ここで特に問題となるのは (2) と (3) のあいだの矛盾です。』と述べています。

      参考文献

      [1] 齋藤 純一『公共性』 (岩波書店、2000年)

      • タイトル公共性
      • 著者: 齋藤 純一(著)
      • 出版社: 岩波書店
      • 出版日: 2000-05-19
      • 税制を変える3つの推進力

        まえがき

        『何が税制を変えていくドライビングフォース(推進力)になるのでしょうか。京都大学で財政学講座教授を務めていた島恭彦氏 (1910-95) は、このドライビングフォースを次の三点にまとめています。』

        リスト

        あとがき

        まえがきを含めて、諸富 徹『税という社会の仕組み』 (筑摩書房、2024年)より。本文からリスト項目になりそうな言葉を抜き書きしました。一部言葉を足しています。

        税制がどうあるべきかという論点は多種多様にあるような気もしますが、このように3つに絞り込まれるとわかりやすいですね。リストの力を感じます。

        • アメリカ海軍兵学校で許されている5つの回答

          まえがき

          『アメリカ海軍兵学校でも「わかりません」という返事を使ってはいけない。入学一年目の士官候補生が質問への回答に使ってよいのは、(略)の五つだけだと指導される。』

          リスト

          あとがき

          まえがきを含めて、エイミー・E・ハーマン 『問題解決のための名画読解』 (早川書房、2023年)より。リストは本文を分解して作成しました。

          ハーマン氏は『FBI、NATO、ロンドン警視庁など世界各地の指導者向けに、美術作品によって観察力・分析力を高めるためのセミナー「知覚の技法」 (The Art of Perception) を行っている』とのこと。そんな仕事がどのように成立するのか、本書を読めば納得できます。

          著者は「ステップ1 レンズを磨く」という章で、絵画を見た印象を語るときにその理由を「わかりません」という言葉で逃げないよう訴えています。そして栄養・健康指導に携わるレベッカ・クレメンツの言葉を引用しています。

          「『わかりません』と言うときに何が起こるかご存じですか? 脳が知ろうとすることを止めるのです。脳の回路は気づき、適応し、行動し、繰り返すようにできています。何かに気づくよう指示されたのに、それに応じようとしないと、ひょっとするとすばらしい人生の転機となるかもしれない瞬間を逃してしまいます」

          そしてまえがき、リスト化した部分へとつながります。この部分は参考文献[1]からの引用でした。

          著者はこの5つを次のように評価しています。

          海軍の基本となる五つの返事は、肯定と否定、責任の受諾、指示の受容、答えを探し出す約束という、すべての基本をしっかり網羅している。

          • タイトル問題解決のための名画読解
          • 著者: エイミー・E・ハーマン(著)、Amy E. Herman(著)、野村 真依子(翻訳)
          • 出版社: 早川書房
          • 出版日: 2023-11-07

            参考文献

            [1] Carole Cadwalladr, “JR: ‘I realised I was giving people a voice’“, The Guardian, October 11, 2015.

          • 戦略立案スキルを形成する3要素

            まえがき

            『三つのスキルはどれが欠けてもならず、三つがそろって初めて課題の核心 (crux)、つまり最重要ポイントに全力集中できるようになる。』

            リスト

            あとがき

            まえがきを含めて、リチャード・P・ルメルト『戦略の要諦』 (日経BP 日本経済新聞出版、2023年)より。

            端的で隙のない定義。せっかくなのでまえがきの次の文章も引いておきます。

            最重要ポイントはてしいだけでなく成否を分ける勝負どころであって、かつ、集中的に取り組めば克服可能な難所を意味する。

            • タイトル戦略の要諦
            • 著者: リチャード・P・ルメルト(著)、村井章子(翻訳)
            • 出版社: 日経BP 日本経済新聞出版
            • 出版日: 2023-11-25
            • 真の盗賊のモラル

              まえがき

              『……の三カ条が金科玉条というもので、これから 外れた、どこにでもころがっているような泥棒を真の盗賊たちは「あさましい」と見るのである。』

              リスト

              あとがき

              まえがきを含めて、池波 正太郎「浅草・御厩河岸」より。『鬼平犯科帳 (1)』 (文藝春秋、1974年)所収。

              盗賊のモラルなのですが、どこか五戒(不偸盗戒、不殺生戒、不邪淫戒)につながるような。

              • タイトル鬼平犯科帳 (1)
              • 著者: 池波 正太郎(著)
              • 出版社: 文藝春秋
              • 出版日: 1974-12-25
              • 徳がヒトの開花に不可欠である理由

                まえがき

                『諸徳はどのようなしかたでこれら三重の機能を果たすのかを理解するためには、私たちはまずもって、諸徳の行使が要求するような秩序づけられた社会関係と、諸徳に関する従来の説明においては必ずしも正当な評価を受けてこなかったいくつかの徳の重要性の双方をより十全なしかたで特徴づける必要がある。』

                リスト

                あとがき

                まえがきを含めて、アラスデア・マッキンタイア『依存的な理性的動物: ヒトにはなぜ徳が必要か』 (法政大学出版局、2018年)より。リストは本文を編集して作成しました。

                徳倫理の復権というか必要性を論じる本書。徳、ヒトの開花、実践的推論能力などの言葉の本書における意味合いの解説なしには理解が難しいリストですが、そういった定義をまとめていくとかなり長くなってしまうので、残念ながら割愛します。

                  参考文献

                • 物語におけるキャラクターの3軸

                  まえがき

                  『登場人物のキャラクターを(略)考える際のコツは、ズバリ考えすぎないことです。(略)キャラクターを考える軸は、3つです。』

                  リスト

                  あとがき

                  まえがきを含めて、新井 一樹『プロ作家・脚本家たちが使っている シナリオ・センター式 物語のつくり方』 (日本実業出版社、2023年)より。リストは本文からの編集・引用です。

                  この3軸でキャラクターを表現した例がいくつか載っていました。それが秀逸で「なるほど!」と思えたので収集。一つだけ引用すると:

                  『ローマの休日』アン王女なら、「好奇心が旺盛すぎる性格だから、憧れ性は、新しいことに挑戦できること。なら共通性は、後先を考えずに行動しがち」なキャラクター。

                  わかりやすいですよね。まずは性格を「○○すぎる」という表現でわかりやすく特徴づける。そして憧れ性と共通性を考える。これらは心理学の言葉でいう同一化(Wikipedia) の力が観客・読者にどう働き得るかを考えてみるということでしょう。

                  本書全体に、「物語づくりの発想(大・中・小)」「物語設定の3要素(テーマ・モチーフ・素材)」「物語素材の3要素(天・地・人)」「物語構成の起・承・転結」など、大きな構造から小さなコツまで端的にまとめられていて、読みやすく納得しやすい内容でした。

                  • 研究課題を絞り込む観点

                    まえがき

                    『対人関係専門職にとって、実践・臨床の場はショーンが言う「沼地」であり、そこでの課題は多様で複雑であり、またあいまいさを伴っている。そのため、何が課題であるのかを明らかにし、複雑な課題を絞り込むということは、想定する以上の一大作業になる。』

                    リスト

                    あとがき

                    まえがきを含めて、三輪建二『わかりやすい省察的実践  実践・学び・研究をつなぐために』 (医学書院、2023年)より。リストは本文と図表から引用して作成しました。

                    まえがきの「対人関係専門職」は著者が普及を図っている造語で、対人関係を核とする専門家のこと。典型的には看護職・教育職・福祉職などがあてはまります。「ショーン」は『省察的実践とは何か―プロフェッショナルの行為と思考』の著者ドナルド・A. ショーン。

                    実践家としてひとかたまりの文章を書こうと思うとき、どのようにテーマを定めるかが悩ましく、よい指針になると感じたので収集しました。

                    • OPPシートの構造

                      まえがき

                      『一枚ポートフォリオ評価(OPPA:One Page Portfolio Assessment)とは、教師のねらいとする授業の成果を、学習者が一枚の用紙の中に学習前・中・後の履歴として記録し、その全体を学習者自身が自己評価する方法を言います。』

                      リスト

                      あとがき

                      まえがきを含めて、堀 哲夫『新訂 一枚ポートフォリオ評価OPPA』 (東洋館出版社、2019年)より。

                      まえがきにあるようにOPPAというのは教育の一つの方法論ですが、リストは学習者が書き込むOPPシートの項目を収集してみました。OPPAの思想が最終的に表現されていると思ったので。リストは「OPPシートの基本的構成要素と骨子」という図表から項目タイトル部分を抜き書きして作成しました。参考文献[1] の図2に同じ図が載っています(ただし本文での引用元は別の論文[2]です)。

                      学習前後での、同じ問いに対する答えの差をもって理解の深まりを推し量るアプローチは、社会人の学習にも採り入れられそうです。

                        参考文献

                        [1] 堀, 哲夫. “OPPA の基本的骨子と理論的背景の関係に関する研究.” 山梨大学教育人間科学部紀要 13 (2012): 94-107.

                        [2] Hori, Tetsuo. “The concept and effectiveness of teaching practices using OPPA.” Educational Studies in Japan 6 (2011): 47-67.

                      • 王国は一本の釘から滅びる

                        まえがき

                        『「一本の釘の不足から」とは、何世紀にもわたり多くのバリエーションを持つことわざである。一見重要でない行為や不作為が重大で予期せぬ結果をもたらす可能性があることを思い出させてくれる。』

                        リスト

                        あとがき

                        リストはアラスデア・マッキンタイア『美徳なき時代【新装版】』 (みすず書房、2021年)の訳注からの引用です。

                        本文に、ある批評家の言葉として「王国は一本の釘の不足から滅びる」とあり、訳注では『次の格言を踏まえての言葉』だとしてリストが紹介されていました。

                        原点を探してみたら Wikipedia に “For Want of a Nail” というエントリがあったので、冒頭部分を私訳してまえがきとしました。よく知られた格言なのですね。

                        「千丈の堤も蟻の一穴より崩れる」と同じ意味ですが、破局的結末に至るメカニズムが「風が吹けば桶屋が儲かる」的につながっていて面白いリストです。タイトルも蟻の一穴に合わせて「王国は一本の釘から滅びる」としています。

                        本書のメッセージとはまるで関係ないのですが、収集しておきたくなりました。

                        • タイトル美徳なき時代【新装版】
                        • 著者: アラスデア・マッキンタイア(著)、篠﨑榮(翻訳)
                        • 出版社: みすず書房
                        • 出版日: 2021-11-04

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