道徳の基礎となる5つの感情


まえがき

『道徳の基礎となる感情に具体的にどういうものがあり、互いにどう関係し合っているかということについては、研究者によって意見が分かれている。(略)ジョナサン・ハイト(略)は、この感情を五つに分類している。』

リスト

  1. 被害/配慮(Harm/care):他人の苦しみに関わる感情。優しさや思いやりなど
  2. 公平性/相互関係(Fairness/reciprocity):不公平な取り扱い、嘘、正義と権利についての抽象的な考えに関わる感情。
  3. 集団への帰属/忠誠(Ingroup/loyalty):集団の一員としての義務に関わる感情。忠誠心、自己犠牲、裏切りに対する警戒など。
  4. 権力/尊敬(Authority/respect):社会秩序と階層的な関係における義務に関わる感情。服従、尊敬、役割に基づく義務の遂行など。
  5. 無垢/汚れ(Purity/sanctity):物理的・精神的な感染に関わる感情。貞節、健全さ、欲望の管理など。

あとがき

まえがきと各リスト項目の日本語訳は『人生の科学: 「無意識」があなたの一生を決める』からの引用です。リスト項目の残りの部分はジョナサン・ハイトらの論文から意訳のうえ引用しました(1)。著者らは Moral Foundations Theory と呼んでいます。

道徳は文化の影響が大きいですが、根底には人類共通の「ものの感じ方」があるのではないかという研究。この5つで過不足なく網羅されていると言えるのか、直感的にはやや分かりづらい枠組みですね。

    (1) Haidt, J., & Kesebir, S. (2010). Morality. In S. Fiske, D. Gilbert, & G. Lindzey (Eds.) Handbook of Social Psychology, 5th Edition. Hobeken, NJ: Wiley. Pp. 797-832.

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