因果ネットワークの基本型


まえがき

『リンクが二つの3ノード・ネットワーク(ジャンクション)が、あらゆるベイジアンネットワーク(そして因果ネットワーク)の構成単位となる。ジャンクションには、以下の三つの基本型がある。それらを用いれば、ネットワーク内の矢印のどんなパターンでも記述することができる。』

リスト

あとがき

まえがきを含めて、ジューディア・パール、ダナ・マッケンジー『因果推論の科学 「なぜ?」の問いにどう答えるか』 (文藝春秋、2022年)より。まえがきもリストも本文からの編集・引用です。

いずれも、必ずしも関係がないAとCがBによって関係づけられ得る図式を示しています。それぞれの型に、本文で挙げられていた例を添えました。備忘録を兼ねて解説してみます。

  • チェーンの例は「火→煙→報知器」です。報知器は火事を知らせるものですが、実際には火に伴って煙が発生し、その煙を報知器が検知して作動します。つまり火と報知器は独立していて、火が出ても煙が遮断されると報知器は作動しません。
  • フォークの例は「靴のサイズ←子供の年齢→読解力」。子供の年齢は靴のサイズと読解力の両方の原因であるため、たとえ靴のサイズと読解力の間に因果関係が無くても、相関関係が生じます。
  • コライダーの例は「才能→名声←美貌」。俳優が名声を得るには才能と美貌のどちらか一つがあればよいと仮定します。すると「俳優Aが美人とはいえないのに名声を得ているからには、才能があるに違いない」というように、もともと才能と美貌が独立していたとしても、両者の間に(負の)相関が生じます。

複雑で知り得ないものと思われている因果関係を考えるための言語と枠組みをつくろうという学者の道のりを楽しく読みました。

名声を得るには才能と運の両方が必要というケースも、コライダーの一種なのかな。

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