まえがき
『最後に、いままで言ってきたことを振りかえりながら、じょうずに考えるためのヒントになるようなことを拾ってみようか。』
リスト
- 問題そのものを問う: 考えるってことは、問題を抱えて、その問題のまなざしでものごとを見ることだ。そのとき、何よりも、何が問題なのかが問題になる。
- 論理を有効に使う: 論理はことばの意味するところを引き出してくることだから、手持ちの情報を最大限に活用するには、その情報の意味するところを引き出してやらなくちゃいけない。それが、論理の力だ。
- ことばを鍛える: 考えるために、ぼくらがもっている唯一の翼が、ことばだ。ひとまとまりの状況をさまざまなパーツに切り分けて、そのパーツを関係づける。そして新たな組み合わせを模索する。それをぼくらはことばで作業する。
- 頭の外へ: 頭の中であれこれするのが考えることではない。問題のまなざしをもってよく観察すること。そして、実際に作業すること。
- 話し合う: 第一に、自分が抱えている問題をひとに伝えようとすることは、問いのかたちをはっきりさせるためになによりも役に立つ。第二に、さまざまな意見に出会うこと、いろんなものの見方に出会うこと、新しいことば、新しい意味の広がりに出会うこと。そうしてはじめて、ぼくはぼく自身に出会えるわけだし、ぼくが思ってもみなかったところに踏み込むことができる。
あとがき
まえがきを含めて、野矢 茂樹『はじめて考えるときのように 「わかる」ための哲学的道案内』 (PHP研究所、2004年)より。リストは本文終盤の文章からの抜き書きです。気に入った文章をまるごと引用しようと思ったので、やや長くなりました。
『考えるってことは、問題を抱えて、その問題のまなざしでものごとを見ることだ』。問題のまなざしでものごとを見る。
- タイトル: はじめて考えるときのように 「わかる」ための哲学的道案内
- 著者: 野矢 茂樹(著)、植田 真(イラスト)
- 出版社: PHP研究所
- 出版日: 2004-08-02