まえがき
『「ソフト(・サイエンス)という言葉は、軟弱なとか、いい加減な、という意味だろうと解釈されてしまいがちだが、実際には、社会科学は、方法論的にも知的にも、あらゆる学問の中でもっとも難しい学問領域のひとつなのである」』
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- 人間の行動は、脳や社会といったいくつもの層からなる複雑なシステムに埋め込まれている。そのため、特定の一つが及ぼす影響だけを取り出すことが難しい
- あらゆる場所と時間で成り立つ自然法則とは異なり、社会の仕組みと、その社会の中で人間が取る行動を支配するルールは、場所と時間により変化する
- 人間の心理と行動には、定量化しにくい概念が絡んでいる(幸せの尺度とは? 人生の満足度や知能をどう測定する?)
あとがき
まえがきを含めて、キャスリン・ペイジ・ハーデン『遺伝と平等:人生の成り行きは変えられる』 (新潮社、2023年)より。まえがきは『「ネイチャー」誌の、ある編集委員』の言葉として紹介されていました。(・サイエンス)をこちらで追加しています。
またタイトルは本文の記述に準じて「心理学の問題を解決困難にしている3つの様相」としていますが、まえがきに引用した部分に示唆されているように、これらの様相は人間心理を扱うソフト・サイエンス(心理学、社会学、経済学、政治科学)全般に当てはまるものと思います。
- タイトル: 遺伝と平等:人生の成り行きは変えられる
- 著者: キャスリン・ペイジ・ハーデン(著)、青木 薫(翻訳)
- 出版社: 新潮社
- 出版日: 2023-10-18