まえがき
『科学を評価する際に、すべての人が公正かつ合理的に行動することを義務づける法律はない。そこで、科学者の行動を同調させる価値観、つまり、共有のエートス(倫理観)が必要になる。社会学者のロバート・マートンはこの不文律を言葉にしようと試みた。』
リスト
- 普遍性 (universalism): 科学の知識は、誰が考え出したものでも科学の知識である。
- 無私性 (disinterestedness): 科学者が科学をするのは、カネ・政治・イデオロギー・エゴなどのためではない。物事を発見したり、つくりだしたりすることによって、この宇宙に関する理解を深めるためだ。
- 共有性 (communalism): 科学者は知識を共有しなければならない。
- 組織的な懐疑主義 (organised scepicism) 聖域は存在せず、科学的な主張を額面どおりに受け入れてはいけない。どんな発見も、すべてのデータと方法論を厳密に確認するまでは判断を保留する。
あとがき
まえがきを含めて、スチュアート・リッチー『Science Fictions あなたが知らない科学の真実』 (ダイヤモンド社、2024年)より。リストは本文からの引用です(一部編集)。
「科学的方法のルール(科学のエートス)」と同じですが、まえがきが素敵なので別に収集しました。まえがきはこう続きます。
1942年に彼は科学の4つの価値観を示した。いわゆる「マートンの規範(ノルム)」だ。いずれも洒落た名前はついていないが、科学者の高い志が縮されている。
1942年に彼が示したのは書籍の中においてであったようです。現在では1973年版[1] が流通している模様。検索すると「マートン・ノルム」という言葉でもひっかかります。
第4項目は「組織的な」というより「秩序だった」、あるいは「科学的方法のルール」で訳されているように「系統的」という言葉がしっくりくるように思います。
- タイトル: Science Fictions あなたが知らない科学の真実
- 著者: スチュアート・リッチー(著)、矢羽野 薫(翻訳)
- 出版社: ダイヤモンド社
- 出版日: 2024-01-31
この本からの他のリスト
参考文献
[1] Merton, Robert K., “Sociology of Science: Theoretical and Empirical Investigations”, University of Chicago Press, 1973.
- タイトル: Sociology of Science: Theoretical and Empirical Investigations
- 著者: Merton, Robert K.(著)
- 出版社: University of Chicago Press
- 出版日: 1973-12-31