まえがき
IBISは、意思決定や問題解決に向けた議論を構造化・可視化するアプローチ。3種のノードを次のようなルールでリンクしていきます。
リスト
- [問い](イシュー / Issue / Question)…… 答えるべき問い。IBISは[問い]から始まるツリーである。[問い]・[アイディア]・[議論]のいずれにも、さらなる[問い]をリンクできる。
- [アイディア](立場 / Position / Idea)…… [問い]を解決する、あるいは明らかにする回答。[アイディア]は[問い]にリンクする。
- [議論](Argument)…… [アイディア]に対する議論、つまり賛否。[議論]は[アイディア]にのみリンクする([問い]には直接リンクしない)。
あとがき
主に “Issues, Ideas and Arguments: A communication-centric approach to tackling project complexity” (Eight to Late) あたりを参考にして書きました。
便宜上、3種類のノードには[問い] [アイディア] [議論]のように[]を付けています。またノードには文献によってさまざまな呼び方があるので、ノード名の直後に()で括って記しました。
テキストでは表現しづらいですが、サンプルとしてツリーを作ってみました。
[問い] 明日の天気をどうやって知るか?
└[アイディア] 自分で考える
・└[議論] 知識も経験もないので、精度が低いだろう
└[アイディア] 外部の情報源に頼る
・└[問い] 情報源の信頼性をどう判断するか?
・・└[アイディア] (判断基準についてのアイディア)
・・・└[議論] (その判断基準についての賛否)
・・・└[問い] その判断基準に照らして、どの情報源を選ぶか?
・・・・└[アイディア] (具体的な情報源の候補)
・・・・・└[議論](情報源を絞り込むための議論)
ちなみに、参考文献(1)によればリンクの種類は下記の9種類とされています。
- [問い]から[問い]への一般化
- [問い]から[問い]への特殊化
- [問い]から[問い]への置き換え
- [問い]への[問い][アイディア][議論]からの示唆
- [問い]から[問い][アイディア][議論]への疑問
- [アイディア]から[問い]への回答
- [議論]から[アイディア]への支持
- [議論]から[アイディア]への反対
- その他
IBISは、西田 豊明『インタラクションの理解とデザイン』で見つけました。
- タイトル: インタラクションの理解とデザイン (シリーズ 現代工学入門)
- 著者: 西田 豊明(著)
- 出版社: 岩波書店
- 出版日: 2005-07-08
この本からの他のリスト
参考文献
(1) Conklin, J., & Begeman, M. L. (1988). gIBIS: A hypertext tool for exploratory policy discussion. ACM Transactions on Information Systems (TOIS), 6(4), 303-331.
(2) Issue-based information system – Wikipedia
補遺
あとがき中のリストが読みづらいので図式化。[A] ← [B] であるとき、[A] に [B] をぶら下げるイメージです。
- [問い] ← [問い] 一般化
- [問い] ← [問い] 特殊化
- [問い] ← [問い] 置き換え
- [問い][アイディア][議論] ← [問い] 示唆
- [問い][アイディア][議論] ← [問い] 疑問
- [問い] ← [アイディア] 回答
- [アイディア] ← [議論] 支持
- [アイディア] ← [議論] 反対
さらに [問い]を[?]、[アイディア]を[!]、[議論]を[±]などと略記するとテキストエディタでも議論の構造化・可視化がしやすくなります。