まえがき
『スタッフ部門の仕事の「工程」とは何か。それは、「意思決定」でしょう。(略)この「意思決定」の一つひとつこそ、現場で言うところの「工程」です。(略)では、正しい「意思決定」をするためには何が必要なのか。(略)スタッフ部門の仕事における「自工程完結」のポイントを紹介しましょう。』
リスト
- 「目的・ゴール」をはっきりさせる
- 「最終的なアウトプットイメージ」を明確に描く
- 「プロセス/手順」をしっかりと考え、書き出す
- 次の「プロセス/手順」に進んでよいかを判断する基準を決める
- 正しい結果を導き出すために「必要なもの」を抜け・漏れなく出す
- 仕事を振り返り、得られた知見を伝承する
あとがき
まえがきを含めて、佐々木 眞一『現場からオフィスまで、全社で展開する トヨタの自工程完結: リーダーになる人の仕事の進め方』 (ダイヤモンド社、2015年)より。
「自工程完結」は2007年よりトヨタの全社プロジェクトとして導入されたと書かれています。よく知られている他のトヨタの仕事のやり方との関係を、少し長くなりますが、引用します。
端的に言えば、トヨタの品質と生産性をカバーしているのは、「トヨタ生産方式」です。「カイゼン」はその中で行われるエンドレスの活動です。そして「QCサークル」は、「カイゼン」を促進する活動と言っていいと思います。
「自工程完結」は、良い仕事をするためには、どうすればいいのか、を科学的に洗い出す、という考え方です。部分ではなく、全体を見ます。
その意味では、「カイゼン」との両輪をなすもの、と言えると思います。
引用したリスト部分は自工程で完結させるためのポイントを挙げているので通常の意思決定メソッドとの違いが分かりづらいかもしれません。考え方としての「自工程完結」の特徴は、その俯瞰的な視座にあります。
前工程の成果を受け取り、責任をもって成果を挙げ、後工程に渡すように運用する。組織として成果に向かう営みをそういった工程(意思決定)の連なりとしてみなしたうえで、成果をあげるために一つひとつの意思決定の精度を高めていくという発想だと理解しました。
通読して、オブジェクト指向が連想されました。一つひとつの意思決定単位(工程)を、プロパティとメソッドを持つオブジェクトと見なして設計する。結果として、工程間で受け渡す情報(オブジェクト間のインターフェース)と工程の責任(オブジェクト内の処理)が明確になる。そんな世界観を感じました。
- タイトル: 現場からオフィスまで、全社で展開する トヨタの自工程完結―――リーダーになる人の仕事の進め方
- 著者: 佐々木 眞一(著)
- 出版社: ダイヤモンド社
- 出版日: 2015-11-13